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スポーツ外傷で必須な傷害調査

スポーツ現場で絶対に必須な傷害調査とは?怪我を減らすためにはまずは現状を知ることから

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こんにちは。最近ブログの内容をトレーナー向けにシフトしているトレーナーのこうた(@trainer_blog)です。

 

今まではダイエットとかある特定の栄養素について記事を書いていましたが、最近はかなりトレーナーに向けた記事が増えてきました。

 

実は今回の内容でもある「傷害調査」ですが、Instagramで投稿した時はフォロワーさんが少ないこともあり反応が薄かったです。。

 

ただ個人的には凄く大事なところだと思っていますし、トレーナーの教科書にも詳しくは記載されていないので、本記事でより詳しく解説していこうかなと。

 

ぜひスポーツ現場でトレーナーをされている方は一読して頂けると幸いです。

そして、「自分のチームではこうしてるよ」などと情報提供して頂けるとさらに喜びます。。笑

 

 

・傷害調査について知りたい
・スポーツ現場の怪我を減らしたい
・減らしたいけど何からやればいいか分からない
アスレティックトレーナー、日本トレーニング指導者、鍼灸師等の多資格を駆使しながら、ラグビーチームのトレーナーをしている筆者が論文&実体験を交えて執筆しております。
傷害調査をして怪我が減るわけじゃないでしょ?

 

 

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傷害調査とは?

傷害調査とは、その名の通り

チーム内で起きた傷害の発生率、重症度、件数、部位、発生状況などを詳しく調査すること

です。

 

ではなぜ傷害調査を行うのか?

それは、傷害予防の第1ステップだからと言えます。

 

まず怪我を予防するためには、現状チームで多く発生している傷害は何なのか。部位はどこが多いのか。

などなど、問題点を具体的に明らかにすることが重要になります。

 

例えばACLの怪我が1件も発生していないチームで、ACL予防を必死に取り組んでも対費用効果が低いですよね。

 

もちろん、ACL予防に効果がないというわけではなく、現状チームではもっと優先的に取り組むべき問題点があるかもしれないということです。

 

このように傷害調査が傷害予防の第1ステップであるという考え方は、既に世界的なスタンダードとなっています。

 

 

トレーナーの存在意義

チームがトレーナーに求めるものは細々した違いはあるものの、大きなところは単純明快で

怪我人を減らして、常にベストメンバー・ベストコンディションな状態の選手で試合をしたい

という点は共通しているかと思います。

 

そして怪我人を減らそうとあらゆる取り組みを行い、シーズン終了後にその効果測定はどのように行いますか?

 

自分のやりたいことだけをやって効果測定をしないのはただの自己満です。

やはりシーズンを通して傷害調査を行い、シーズン終了後にはそのレビューを行う。

 

そして自分の存在価値を証明していく。さらにはトレーナーとしての価値を向上させていく。

これはトレーナーにとって必須事項だと思っています。

 

 

傷害調査の具体的な方法

では具体的にどのように傷害調査を行っていけばいいのでしょうか?

具体的なステップを3つに分けて説明していきます!

 

❶調査項目の決定
❷傷害や他の項目の定義
❸傷害発生率の算出

 

1つずつ説明していきますね!

 

 

ステップ1:調査項目の決定

まずステップの1つ目が傷害調査項目を決めるということです。

 

実際に怪我人が起きた際に、何を記録すればいいのか。ここが定まっていないと先に進みません。

 

ただこの項目を好き勝手決めていいかというとそうでもありません。。

なぜなら

チーム内での比較は可能だが、他チーム・他競技との比較ができなくなる可能性がある

からです。

 

例えば、目を怪我した選手がいるとしましょう。

あなたは顔の怪我だから部位は顔だ!と記録するかもしれませんが、もしかしたら世界的なスタンダードでは目の怪我は「目」と記録するかもしれませんよね。

 

すると他のチームと怪我人を比較する時に比較部位がバラバラになってしまい、うまく比較することができなくなってしまいます。

 

じゃあ世界的なスタンダードとは一体何なのでしょうか?

 

 

国際基準の調査項目

国際基準と聞くと一番有名なものがIOCが発表している傷害調査用のフォーマットかと思います。

 

このフォーマットを使用することで、競技を超えた傷害調査の比較も可能となります。

 

他にもラグビーだと現ワールドラグビー(旧IRB)がラグビー向けに示しているものもあれば、全米大学体育協会(NCAA)が示しているものもあります。

 

今回はICOのフォーマットではどのような項目があるのかをご紹介します。

 

少し長くなりますので、必要のない方はとばしてください。

 

主に記録する項目は4つで

❶Injury body part:傷害の部位
❷Type of injury:傷害の種類
❸Cause of injury:傷害の原因
➍Absence in days:練習を休んだ日数

になります。

 

これに加え、

受傷日、氏名、学年(学生なら)、ポジション、右か左か、急性か慢性か

などの項目も必須で必要だとは思います。

 

上記については後ほど解説していきますね!

 

では具体的に上記の❶~❸はどのように分類されているのか見ていきましょう。

 

Injury body part:傷害の部位

Head and trunk(頭部・体幹)

1.face(incl,eye,ear,nose):顔(目・耳・鼻を含む)
2.head:頭部
3.neck / cervical / spine:頚部・頚椎
4.thoracic spine / upper body:胸椎・上背部
5.sternum / ribs:胸骨・肋骨
6.lumbar spine / lower back:腰椎・下背部
7.addomen:腹部
8.pelvis / sacrum / buttock:骨盤・仙骨・臀部

 

Upper body(上肢)

11.shoulder / clavicle:肩・鎖骨
12.upper srm:上腕
13.elbow:肘
14.forearm:前腕
15.wrist:手首
16.hand:手
17.finger:指
18.thumb:親指

 

Lower extremity(上肢)

21.hip:股関節
22.groin:鼠径部
23.thigh(a: anterior / p: posterior):大腿(前面 or 後面)
24.knee(m: medial / p:posterior):膝(内側 or 外側)
25.lower leg(a: anterior / p: posterior):下腿(前面 or 後面)
26.achiles tendon:アキレス腱
27.ankle(m: medial / l: lateral):足関節(内側 or 外側)
28.foot / toe:足部・足趾

 

 

Type of injury:傷害の種類

1.conussion(regardless of loss of consciousness):脳震盪(意識障害を認めない)
2.fracture(traumatic):骨折(外傷性)
3.stress fracture(overuse):疲労骨折(オーバーユース)
4.other bone injuries:その他の骨障害
5.dislocation subluxation:脱臼・亜脱臼
6.tendon rupture:腱断裂
7.ligamentous rupture:靭帯断裂
8.sprain(injury of joint and / or ligaments):捻挫(関節 and/or 靭帯)
9.lesion of meniscus or cartilage:半月板 or 軟骨損傷
10.strain / muscle rupture / tear:筋挫傷 / 肉離れ / 筋断裂
11.contusion / haematoma / bruise:打撲 / 血腫 / 挫傷
12.tendinosis / tendinopathy:腱炎・腱周囲炎
13.arthritis / synovitis / bursitis:関節炎・滑膜炎・滑液包炎
14.fasciitis / aponeurosis injury:筋膜炎・骨膜損傷
15.impingement:インピンジメント
16.laceration / abrasion / skin lesion:裂傷・擦り傷・皮膚損傷
17.dental injury / broken tooth :歯の損傷・歯の破損
18.nerve injury / spinal cord injury:神経損傷・脊椎損傷
19.muscle cramps or spasm:筋痙攣 or スパズム
20:other:その他

 

 

Cause of injury:傷害の原因

1.overuse(gradual onset):オーバーユース(徐々に発症)
2.overuse(sudden onset):オーバーユース(突然発症)
3.non-contact trauma:非接触型損傷
4.recurrence of previous injury:過去の障害の再発
11.contact with another athlete:接触損傷(他の選手と接触)
12.contact:moving object:接触損傷(動いている物に接触)
13.contact:stagnant object:接触損傷(動いていない物に接触)
14.violation of rules:ルール違反
21.field of play conditions:フィールドのコンディション
22.weather condition:天候
23.equipment failure:用具の故障
24.other:その他

 

 

Absence in days:練習を休んだ日数

選手が復帰した後に、どれだけ練習を休んだのか記録しておきましょう。

 

例えばワールドラグビーだと

0-1日:軽微な
2-3日:やや軽度の
4-7日:軽度
8-28日:中程度
28-日:重度
その他:引退するほどの

のように休んだ日数をもとに重症度の分類を行っています。

 

 

競技特有の項目

上記に説明したIOCの項目以外にも私は、

1.受傷日
2.氏名
3.学年
4.ポジション
5.右or左
6.急性or慢性
7.診断名
8.病院診察の有無
9.手術の有無
10.受傷時間(試合だった場合は、前半?後半?)
11.接触or非接触
12.タックルした/タックルされた

13.天候
14.サーフェス(天然芝/人工芝/土)

などを追加で聞き取るようにしています。

 

少し項目が被るものもありますが。。

 

他にも競技特性の項目などを付け足してもいいと思います!

ある一定のフォーマットを使用しつつ、チーム内で知りたい項目があればオリジナル項目を作成しましょう

 

 

ステップ2:傷害や他の項目の定義

IOC基準のものにオリジナル項目を付け足した傷害調査用フォーマットが完成し、いざ記録を!

と言いたいところですが、まだ解決しなくはいけない問題があります。

 

それが

傷害の定義

です。

 

要は打撲したけど、練習は1回も休んでいません。

これを傷害とし、記録するかどうか。という問題です。

 

これを考える上で2つの考え方があります。

それが

❶Medical attention injury
❷Time loss injury

の2つです。

 

 

◆Medical attention injury

これは医療行為を受けた傷害のことを指します。

 

医療行為を受けたものの練習や試合には休むことなく参加できた場合は、記録はとりつつも「Absence in days(練習を休んだ日数)」を0日として記録すればOKです。

 

 

◆Time loss injury

これは1日以上練習や試合に参加できなかった傷害を指します。

 

 

では話を戻して、どの怪我から傷害として扱い記録するかについてですが、

「Medial attention injury]」と「Time loss injury」のどちらか、もしくは両方を記録する

ということになります。

 

個人的には両方を記録し、最後に休んだ日数が0日の記録を除外すれば、1日以上休んだ傷害をチェックできるので、どちらにも対応できるかなと思います。

 

これはぜひ各競技でのスタンダードを知るという意味でも、論文等を検索してみてください!

多分1日以上休んだものを傷害(Time loss injury)と定義して記録している人が多いかなと。。

 

ただ近年は「Any physical complaint」という広義の定義に基づく調査へと変遷しているようですが、こちらに関してはもう少し調べさせてください。。笑

 

 

ステップ3:傷害発生率の算出

個人的にはこのステップ3までしっかりと行った方がいいとは思いますが、ステップ1,2だけでもそれなりに傷害調査は可能です。

 

じゃあこのステップ3の傷害発生率の算出とは何なのか。

 

例えば傷害調査を行い、昨年よりも怪我人が〇人減りました!となったとしても、

「まあ試合数少ないからね。。」

「コロナで練習日がそもそも少なかったよね?」

「今年部員少ないから当たり前じゃない?」

とつっこまれる可能性があるわけです。

 

じゃあ傷害発生件数だけでなく、傷害発生率も合わせて算出しないといけないわけですね。

 

そこで世界的にも使われるのが、

❶Athlete(Players)-hours
❷Athlete-exposures

の2つです。

 

 

Athlete(Players)-hours

これはAHやPHと訳されますが、

1人の選手が1時間活動することを単位にし、総時間に対する傷害発生率を求める方法

となります。

 

これで今年は練習時間が少なかったらかだよね!と言われることはありません。

 

このAH/PHは、

〇件/1,000AH=活動時間×活動参加人数×活動回数×1,000

の計算式で算出することができます。

 

 

Athlete-exposures

これはAEsと訳されますが、

1人の選手が1回の練習または試合を行うことを単位にし、傷害発生率を求める方法

となります。

 

これは、短距離走や投擲など、単純に時間だけで判断ができない種目の時に使われます。

※時間が関係する競技でも算出した方がよい。

 

このAEsは、

〇件/1,000AEs=傷害数÷(活動参加人数×活動回数)×1,000

の計算式で算出することができます。

 

1回の練習や試合時間が長いとAHの方が高い件数になり、その逆だとAEsの方が高くなることもあります。

 

 

発生率を算出するために必須な項目

色々と記録する項目についてお話してきましたが、実はこの傷害発生率を求めるためには、

❶練習時間or試合時間
❷その時の参加人数
❸活動日数(回数)

も記録しなくてはいけません。

 

これを記録しないと傷害発生率が算出できず、最初に述べた

「まあ試合数少ないからね。。」

「コロナで練習日がそもそも少なかったよね?」

「今年部員少ないから当たり前じゃない?」

に答えることができません。

 

個人的にこの記録がかなり大変。笑

 

 

傷害調査フォーマットの一例

画質が荒くかなり見にくいですが、私が数年前に記録を取っていた時はこのようにエクセルで管理をしていました。

もちろん、この表の右側にもいくつか項目はあります。

 

この時は私の知識不足で、特にIOCのフォーマットに準じた方法で分類はしていないのでかなり適当です。

 

これは怪我の詳細についてで、練習時間・参加人数・活動回数については別のエクセルファイルでまとめていました。

 

 

自動で傷害発生率を算出してくれるサービス

練習時間とか参加人数を入力したら自動で傷害発生率を算出してくれるサービスないの?

と思っている方のために、私が知っているサービスを2つご紹介します。

 

それが、

❶SIRIUS
❷One Tap

です。

 

個人的には学生スポーツでお金のないチームはSIRIUSを。

予算に余裕があるチームはOne Tapを使用するのがいいかなと思っています。

 

他にそのようなサービスを知っている方がいたら教えていただきたいです!

 

 

結論:傷害調査は基礎中の基礎

繰り返しになりますが、傷害調査が傷害予防の第1ステップです。

 

記録が面倒に感じる方もいるかもしれませんが、EAPや搬送練習などと同様にトレーナーにとっては基礎中の基礎だと私は思っています。

 

私自身、研究を行っているわけではないので、今回の内容が少し古くなっている可能性もあります。

 

なるべく最新情報をアップロードするようには心がけていますが、もう古いよ!という情報があったら教えていただけると幸いです。。

 

 

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