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股関節屈筋ストレッチのパフォーマンスへの影響を徹底解説|最適な方法と時間は?

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こんにちは。

トレーナーのこうた(@trainer_blog)です!

 

個人的に大事だな~と感じている股関節屈筋群。

今回はその股関節屈筋群に対する面白い論文を見つけたので、ご紹介します!!

 

その論文がこちら

「The Influence of Stretching the Hip Flexor Muscles on Performance Parameters: A Systematic Review with Meta-Analysis」
「股関節屈筋のストレッチがパフォーマンスに与える影響:系統的レビューおよびメタアナリシス」

 

 

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はじめに

運動パフォーマンスを最大化するためには、適切なウォームアップと柔軟性の確保が欠かせません。

股関節屈筋(主に腸腰筋と大腿直筋)は、下半身と体幹の連動性や動的バランスに重要な役割を果たしており、その柔軟性はスポーツ競技において特に重要だとされています。

 

しかし、股関節屈筋のストレッチがパフォーマンスに及ぼす効果は、ストレッチの方法や時間によって異なる可能性があるため、具体的なエビデンスが必要とされています。

 

本ブログでは、最新のメタアナリシス研究を基に、股関節屈筋のストレッチがパフォーマンスに与える影響をストレッチ時間や方法別に詳細に分析し、運動指導者やリハビリテーション専門家が実践に役立てられる指針を提供いたします!

 

 

研究の背景と目的

股関節屈筋の適切な柔軟性は、腰部の安定性や姿勢保持に寄与し、運動効率を高める要素となります。

しかし、長時間の座位などにより股関節屈筋が短縮されると、腰椎の負担が増大し、動的バランスや体幹筋力に悪影響を与えるリスクがあります。

 

本研究は、股関節屈筋ストレッチの方法や時間が単一回の運動パフォーマンスにどう影響するかを検証し、最適なストレッチ方法と時間を導くことを目的としています。

 

 

研究方法

本研究では、PubMed、Scopus、Web of Scienceのデータベースから1990年から2020年5月までの研究を対象に、系統的レビューとメタアナリシスを行いました。

 

選定された8件の研究は、合計165名の参加者に対し、以下の3種類のストレッチ方法とストレッチ時間の影響を検証しました。

・ストレッチ方法:静的ストレッチ、動的ストレッチ、PNF(固有受容性神経筋促通法)ストレッチ
・ストレッチ時間:30~90秒、120秒、270~480秒
*30秒を1セットとし、何セットか実施したり複数のストレッチを実施した合計の時間がストレッチ時間とされています。

また、パフォーマンス指標を3つのカテゴリーに分類し、それぞれの影響を検証しました

1. 筋力・パワー系指標:ピークトルク、平均パワー出力、関節角度など
2. バランス・プロプリオセプション系指標:Yバランステスト、関節位置感覚など
3. 競技特異的指標:スプリントタイム、カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)高さなど

 

 

結果と分析

1. ストレッチ時間別の影響

30~90秒の短時間ストレッチ

30~90秒の静的ストレッチでは、パフォーマンスの指標に有意な悪影響は見られませんでした

 

例えば、5つの筋力・パワー指標および3つの競技特異的指標において、顕著なパフォーマンスの低下が見られず、Yバランステストにおいても軽度の改善が確認されました。

このことから、短時間の静的ストレッチはパフォーマンスへの影響を最小限に抑えつつ柔軟性を向上させるため、運動前のウォームアップとして安全かつ効果的と考えられます。

 

 

120秒の中程度のストレッチ

120秒のPNFおよび動的ストレッチでは、特にYバランステストの後内方および後外方方向でのパフォーマンスが向上し、動的バランス能力の改善が見られました。

 

また、関節位置感覚の向上も確認され、運動時の姿勢制御に寄与する可能性が示唆されます。

これにより、動的バランスが求められるスポーツ(バスケットボールやサッカー等)では、運動前に中程度のストレッチを行うことで効果的な準備運動として活用できると考えられます。

 

 

270~480秒の長時間ストレッチ

長時間の静的ストレッチでは、筋力・パワー指標に対して顕著な低下が認められました。

 

特に、ピークトルクや平均パワーの低下が顕著で、競技直前のウォームアップには不適切です。

 

270~480秒のストレッチによってパフォーマンスが平均3.59%低下する結果が示されており、これは筋の弾性エネルギーが減少するためと考えられます。

したがって、長時間のストレッチは柔軟性向上を目的とするリカバリーや運動後のケアとして使用することが推奨されます。

 

2. ストレッチ方法別の影響

静的ストレッチ

30~90秒の静的ストレッチではパフォーマンスへの影響が少ない一方、270秒を超えると筋力やパワーの低下が見られることから、競技前のウォームアップには短時間の静的ストレッチが適しています。

 

静的ストレッチは、柔軟性改善と筋緊張の軽減に寄与し、短時間であればバランスや筋力に大きな影響を与えません

 

動的ストレッチ

動的ストレッチは関節可動域の向上とともに、プロプリオセプション(固有受容感覚)を改善する効果が確認されました

 

動的ストレッチは股関節屈筋に柔軟性を与えるとともに、バランス感覚や敏捷性の向上にも寄与するため、競技前のウォームアップとして有効です。

例えば、120秒の動的ストレッチはYバランステストの結果を向上させ、競技中の動的バランスの強化につながります。

 

PNFストレッチ

PNFストレッチは、筋肉の弛緩と収縮を繰り返すため、他のストレッチ法に比べバランスやプロプリオセプションに対して高い改善効果が見込まれます。

 

特に、120秒のPNFストレッチが動的バランスにおいて大きな改善をもたらし、固有受容感覚を高めるため、運動直前のバランスや安定性が求められる場面で活用可能です。

 

 

実践的な応用と指針

本研究結果を活用し、以下の実践的な指針を提案します。

 

1. 運動前は120秒以内のストレッチを推奨

長時間の静的ストレッチは筋力低下のリスクがあるため、120秒以下のストレッチが理想的です。

短時間の静的ストレッチや、120秒の動的ストレッチ・PNFストレッチは、筋緊張の軽減やバランス能力の向上に効果的で、特に瞬発力が必要なスポーツでは短時間での実施が重要です。

 

2. 動的ストレッチやPNFストレッチで動的バランスの強化を図る

動的ストレッチやPNFストレッチは、バランス感覚とプロプリオセプションを向上させるため、バスケットボールやサッカー、バレーボールのように動的なバランスと敏捷性が求められるスポーツに適していると考えられます。

 

 

3. 長時間の静的ストレッチはリカバリーや柔軟性向上に活用

長時間の静的ストレッチは、競技直前には適さないため、運動後やリカバリーの一環として実施することで、筋の柔軟性や回復を促進する効果が期待できます。

特に、日常的に座位時間が長い人や腰痛予防を目的とする場合には効果的です。

 

*リカバリーという言葉はかなり曖昧で個人的には避けたいのですが、一応論文にそのような表記があったため、そのまま記載しております…

 

 

4. 慢性的な腰痛予防や柔軟性向上のため、定期的なストレッチを推奨

日常的なストレッチによる股関節屈筋の柔軟性維持は、腰部の負担軽減に役立ち、腰痛予防にもつながります。

 

アスリートのみならず一般の方にとっても、股関節屈筋の健康管理は重要です。

 

 

まとめ

本メタアナリシスの結果、股関節屈筋ストレッチがパフォーマンスに与える影響は、ストレッチ方法や時間に応じて異なることが確認されました。

 

特に120秒以内のストレッチは、動的バランスやプロプリオセプションを向上させる上で効果的であり、パフォーマンスを損なうことなく柔軟性を確保するための適切な時間と考えられます。

 

このエビデンスに基づきストレッチ方法と時間を適切に選択し、競技パフォーマンスや健康管理に活用することで、より効果的なトレーニングとリカバリープランを提供できるのではないでしょうか。

 

ということで、今回の要約は以上となります!

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

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