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アスリートの回復戦略:エビデンスに基づく最適なリカバリー方法とは?

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こんにちは。

トレーナーのこうた(@trainer_blog)です!

 

今回は書くリカバリー法をまとめた論文のご紹介です!

いったい何が効果的なのか?どのタイミングでどんなリカバリーを行うべきなのか?

ぜひ気になる方はチェックしてみてください!!!!

 

参考論文:Driller M, Leabeater A. Fundamentals or Icing on Top of the Cake? A Narrative Review of Recovery Strategies and Devices for Athletes. Sports (Basel). 2023 Nov 3;11(11):213. doi: 10.3390/sports11110213. PMID: 37999430; PMCID: PMC10674277.

 

 

目次

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はじめに

スポーツ界では、近年さまざまな回復デバイスや戦略が登場しています。

アイスバス、コンプレッションウェア、マッサージガン、リカバリーブーツなど、多くのツールが市場にあふれていますが、それらが本当に効果的なのかを見極めることはかなり難しいですよね…

 

本記事では、最新の科学的エビデンスに基づき、アスリートの回復戦略を「効果が科学的に証明されているもの」と「エビデンスが不足しているもの」に分類し、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説していきます!

 

「どの回復法が最も効果的なのか?」「パフォーマンスを向上させるには何を取り入れるべきか?」といった疑問に、研究データをもとに答えていきます。

 

 

 

エビデンスに基づく「効果的な回復戦略」

科学的な研究により、一定の効果が確認されている回復戦略を紹介します。

これらは、アスリートが積極的に取り入れる価値があるものです。

 

 

① フォームローリング(Foam Rolling)

🟢 効果

  • 筋肉の柔軟性向上、可動域(ROM)の改善、筋肉痛(DOMS)の軽減
  • 血流を促進し、代謝産物の排出を助ける

 

🛠 推奨方法

  • 1部位あたり90〜120秒程度のフォームローリングが最適
  • 運動前のウォームアップや運動後のクールダウンに使用

 

📚 エビデンス

  • フォームローリングは、ROMの向上と筋肉痛軽減において有効であることが複数のメタアナリシスで報告されている【Wilke et al., 2020】。
  • ただし、パフォーマンス向上効果については一貫性がなく、筋力回復への影響は限定的との報告もある【Skinner et al., 2020】。

 

 

② コンプレッションウェア(Compression Garments)

🟢 効果

  • 筋疲労の軽減、血流促進、筋肉痛の軽減
  • 長時間の着用により、遅発性筋痛(DOMS)の軽減が期待できる

 

🛠 推奨方法

  • 運動後24時間以上着用すると効果が高い
  • 長距離移動やフライト中の血流維持にも有効

 

📚 エビデンス

  • コンプレッションウェアは、筋肉の炎症や疲労回復を助けるが、パフォーマンス向上には限定的【Brown et al., 2017】。
  • 着圧の強さや適切なフィット感が回復効果に影響を与えるため、適切なサイズ選びが重要【Leabeater et al., 2022】。

 

 

③ 寒冷療法(Cryotherapy & Cold Water Immersion)

🟢 効果

  • 炎症の抑制、筋肉痛の軽減、疲労回復の促進
  • アスリートの短期間の回復戦略として広く使用されている

 

🛠 推奨方法

  • アイスバス(CWI):11~15°Cの水に11~15分間浸かる
  • 全身冷却療法(WBC):-100°Cの低温環境に2~4分間滞在

 

📚 エビデンス

  • 短期的な回復効果は認められるが、長期的には筋肥大を抑制する可能性がある【Roberts et al., 2015】。
  • 特にレジスタンストレーニング後の継続的な使用には注意が必要【Malta et al., 2021】。

 

 

④ 水治療法(Hydrotherapy)

🟢 効果

  • 筋肉の炎症を抑制し、リカバリーを加速
  • 交代浴(CWT)では血流を促進し、代謝産物の除去を促す

 

🛠 推奨方法

  • 冷水浴(CWI):11~15°Cで10~15分
  • 交代浴(CWT):温水(38~40°C)と冷水(約10°C)を交互に1分ずつ、計10分以上

 

📚 エビデンス

  • 水治療法は、持久系アスリートの回復に特に有効【Versey et al., 2013】。
  • 短期的な筋肉痛軽減には効果があるが、長期的な筋力向上への影響は不明【Machado et al., 2016】。

 

 

⑤ 光生体調節療法(PBMT)

🟢 効果

  • 筋肉疲労の軽減、筋力と持久力の向上

 

📚 エビデンス

  • PBMTは持久系スポーツにおいて有効である可能性があるが、研究のバイアスが指摘されている【Vanin et al., 2018】。

 

 

⑥ アクティブリカバリー(Active Recovery)

🟢 効果

  • 血流の促進、乳酸の除去、筋肉の硬直防止
  • 心理的ストレスの軽減効果も期待できる

 

📚 エビデンス

  • 低強度の運動は筋肉痛軽減に有効であり、完全休息よりも優れた回復効果を示す【Fares et al., 2022】。

 

 

 

 

エビデンスが不足している「効果が不確定な回復戦略」

以下の回復戦略はアスリートの間で人気がありますが、科学的なエビデンスが不足している、もしくは一貫性のある結果が得られていないものです。

 

これらの戦略を採用する際には、個々の経験や好みに加え、他の確立された回復戦略と併用することが推奨されます。

 

 

 

① サウナ(Sauna)

🔶 効果(仮説)

  • 血流を促進し、筋肉の緊張を和らげる
  • 発汗により代謝産物を排出し、リラクゼーション効果をもたらす
  • 免疫機能を高める可能性

 

🛠 推奨方法

  • 温度:70~100°C
  • 湿度:15~30%(フィンランド式)
  • 時間:5~20分間のセッションを1~2回

 

📚 エビデンス

  • サウナは自律神経の調整や心血管系の健康には有効である可能性がある【Laukkanen et al., 2018】。
  • 一方で、運動後のパフォーマンス回復への影響については一貫した研究結果が得られていない【Skorski et al., 2019】。
  • 過度な熱ストレスが回復を妨げる可能性があり、特に試合前後の使用は慎重に行うべき【Ahokas et al., 2022】。

 

⚠️ 注意点

  • 脱水リスク:サウナは大量の汗をかくため、適切な水分補給が必要
  • オーバーヒートのリスク:過度の熱ストレスが筋肉のリカバリーを妨げる可能性

 

 

 

② 回復ブーツ・スリーブ(Recovery Boots/Sleeves)

🔶 効果(仮説)

  • 筋肉への断続的な圧迫により血流を促進し、代謝産物の除去を促す
  • 浮腫(むくみ)を軽減し、脚の軽さを回復

 

🛠 推奨方法

  • 圧力レベル:40〜120 mmHg
  • 使用時間:20〜30分(運動後や睡眠前に推奨)

 

📚 エビデンス

  • 一部の研究では、回復ブーツは筋肉痛の軽減に有効とされるが、運動パフォーマンス回復への影響は不明確【Stedge et al., 2021】。
  • コンプレッションウェアと比較して優位性があるかどうかは、まだ明確な証拠がない【Cranston & Driller, 2022】。

 

⚠️ 注意点

  • 価格が高い:比較的高価なデバイスであり、コストパフォーマンスの観点から他の戦略と比較検討が必要
  • エビデンスの不確実性:短期的な筋肉痛軽減効果は期待できるが、パフォーマンスへの影響は未知数

 

 

 

③ 血流制限カフ(Blood Flow Restriction, BFR)

🔶 効果(仮説)

  • 筋肉の血流を制限し、一時的な低酸素状態を作り出すことで血管拡張を促進
  • 代謝ストレスの増大により、リカバリーを加速

 

🛠 推奨方法

  • 圧力レベル:腕 50~100 mmHg / 脚 100~200 mmHg
  • 使用時間:短時間(5~10分)での断続的な使用が推奨

 

📚 エビデンス

  • BFRは筋力トレーニングと併用すると筋肥大を促進する可能性があるが、回復手段としての有効性はまだ明確ではない【Beaven et al., 2012】。
  • 筋疲労軽減の可能性はあるが、持続的な使用による副作用のリスクも指摘されている【Page et al., 2017】。

 

⚠️ 注意点

  • 血栓形成リスク:血流制限が適切に行われない場合、血栓症のリスクが高まる可能性
  • 専門的な知識が必要:適切な圧力管理ができないと、逆に回復を遅らせる可能性

 

 

 

④ フローティングタンク/アイソレーションタンク(Float Tank)

🔶 効果(仮説)

  • 感覚刺激を制限し、深いリラックス状態を促進
  • 副交感神経を活性化し、ストレスを軽減

 

🛠 推奨方法

  • 水温:体温(35°C~36°C)
  • 塩分濃度:エプソムソルト(硫酸マグネシウム)を高濃度に溶解
  • 時間:30〜60分のセッション

 

📚 エビデンス

  • 一部の研究では、浮遊タンクは睡眠の質を向上させ、回復感を高める可能性がある【Morgan et al., 2013】。
  • しかし、運動パフォーマンスの向上に関する直接的な証拠は不足している【Hutchison et al., 2018】。

 

⚠️ 注意点

  • 施設が限られる:専用の浮遊タンクを設置している施設が少なく、利用の機会が限られる
  • 科学的根拠がまだ弱い:主に心理的効果に関する研究が中心で、運動回復への影響は未検証

 

 

 

⑤ マッサージガン(Massage Guns)

🔶 効果(仮説)

  • 筋肉の緊張をほぐし、血流を促進
  • 振動刺激により神経系を活性化し、柔軟性を向上

 

🛠 推奨方法

  • 振動周波数:30~50Hz
  • 使用時間:1部位あたり30秒〜2分

 

📚 エビデンス

  • 筋肉の柔軟性向上には一定の効果があるが、筋肉痛軽減や疲労回復に関するデータは限られている【Hendricks et al., 2020】。
  • 使用方法によっては筋肉損傷を引き起こすリスクがある【Rider et al., 2022】。

 

⚠️ 注意点

  • 適切な圧力管理が必要:強すぎる圧力は逆効果になる可能性
  • 科学的エビデンスが不十分:プラセボ効果の影響も考慮する必要がある

 

 

回復戦略の選び方:いつ・何を使うべきか?

回復方法はトレーニング期や競技会期によって使い分けることが重要です。

フェーズ 推奨される回復戦略
オフシーズン(基礎期) アクティブリカバリー、睡眠、栄養、ストレッチ
シーズン中 水治療法、コンプレッションウェア、フォームローリング
試合直後・連戦中 冷水浴、コンプレッションウェア、アクティブリカバリー
トレーニング強化期 リカバリーブーツ、光生体調節療法(PBMT)

 

 

 

 

 

まとめ:本当に効果がある回復戦略を選ぼう!

スポーツ科学の進歩により、多くの回復手法が登場しています。

しかし、最も効果的なのは「基本戦略(睡眠・栄養・トレーニング管理)」であり、新しいデバイスやテクニックは補助的な役割に過ぎません。

 

 

エビデンスに基づいた回復戦略を選び、競技パフォーマンスを最大限に引き出しましょう!

 

ということで今回の記事は以上となります!

最後までご覧いただき、ありがとうございます!!

 

 

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