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高齢者の認知機能は気温で低下する?最新研究が示す温暖化の影響とは

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こんにちは。

トレーナーのこうた(@trainer_blog)です!

 

このブログを見てくださっている方々は、トレーナーさんが多いかと思いますが、ちょっと面白い論文を見つけたのでシェアします。

 

ぜひ暇つぶしに読んでみてはどうでしょうか?

 

原文≫≫こちら

Hou K, Xu X. Ambient temperatures associated with reduced cognitive function in older adults in China. Sci Rep. 2023 Oct 13;13(1):17414.

 

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はじめに

地球温暖化が進む中、気温の変動が人間の健康に与える影響がますます注目されています。

特に高齢者の認知機能は、温度の変化に敏感であることが報告されており、近年の研究では高温環境が低温よりも深刻な影響を及ぼす可能性が指摘されています。

 

2023年にScientific Reportsに掲載された論文 “Ambient temperatures associated with reduced cognitive function in older adults in China” では、中国の高齢者を対象に長期的な気温変動と認知機能の関係を分析し、特に高温環境での認知機能低下が顕著であることを明らかにしました。

 

本記事では、この研究の結果を詳しく解説し、今後の対策について考察します。

 

 

研究の概要

目的

本研究は、中国の高齢者を対象に月間平均気温の変動が認知機能に与える影響を解析することを目的としています。

 

特に、

  1. 高温と低温のどちらがより認知機能に影響を与えるのか
  2. 温度の影響が認知機能のどの側面に強く表れるのか
  3. 社会経済的要因(所得、居住地など)による影響の違いはあるのか

を明らかにすることを目指しました。

 

方法

  • 対象者:中国長寿健康調査(CLHLS)に登録された 17,791名の高齢者(2008〜2018年のデータ)
  • 認知機能評価:Mini-Mental State Examination(MMSE)スコア(0〜30点)
  • 気象データ:中国全土の月間平均気温、降水量、大気汚染データ(PM2.5)
  • 統計解析:ベイジアン時空間モデルを使用し、温度と認知機能の関係を定量化

 

 

研究結果:高温環境が認知機能低下を加速する

① 温度と認知機能スコアの関係

  • 月間平均気温が1℃上昇すると、認知機能スコアが0.48ポイント低下(95% CI: 0.21–0.74)
  • 1℃低下した場合の影響は0.14ポイント低下(95% CI: 0.06–0.25)

つまり、高温の方が認知機能への悪影響が大きいことが明確に示されました。

 

  • 気温-7°C付近で認知機能スコアが最も高く、それ以上の温度ではスコアが低下
  • 極端な高温(31°C)では、スコアが-4.23ポイント低下(95% CI: -4.45 ~ -2.46)
  • 極端な低温(-14°C)では、スコアが-0.34ポイント低下(95% CI: -0.42 ~ -0.26)

 

 

② 認知機能のどの側面が影響を受けるのか?

研究では、MMSEの5つのサブカテゴリー(一般認知能力、記憶力、注意・計算能力、反応速度、言語理解)ごとに分析を行いました。

認知機能のカテゴリー 低温の影響(1°C低下) 高温の影響(1°C上昇)
総合スコア -0.14 -0.48
一般認知能力 -0.04 -0.24
反応速度 -0.03 -0.16
注意・計算能力 -0.03 -0.22
記憶力 -0.01(影響なし) -0.15
言語理解 -0.01(影響なし) -0.14

 

高温環境ではすべての認知機能が低下しましたが、低温環境では 「記憶力」と「言語理解」には大きな影響が見られませんでした

 

 

③ 高齢者の属性による影響の違い

  • 農村部の高齢者は都市部の高齢者よりも影響を受けやすい
  • 低所得層ほど影響が大きい(冷暖房設備の有無が影響か)
  • 女性は男性より影響を受けやすい
  • 高齢(95歳以上)ほど影響が顕著
  • 漢民族よりも少数民族の方が影響を受けやすい

 

 

考察:なぜ高温環境が認知機能低下を加速するのか?

① 生理学的な影響

  • 高温環境では脳の血流が減少し、認知機能に関与する脳領域の活動が低下
  • 神経伝達物質(ドーパミン、セロトニン)のバランスが崩れる
  • 熱ストレスが脳の神経回路に負担をかける

 

② 生活環境の影響

  • 高齢者は熱中症リスクが高いため、外出を控える傾向が強い → 社会的交流の減少 → 認知機能の低下
  • 高温環境では睡眠の質が低下し、脳の回復能力が低下

 

③ 社会経済的要因

  • 冷房の普及率の違いが影響(特に農村部の高齢者は影響が大きい)
  • 低所得層ほど熱中症対策が不十分

 

 

結論と今後の対策

本研究は、中国の高齢者を対象に高温環境が認知機能低下に及ぼす影響が低温環境よりも大きいことを明確に示しました。

 

他の研究でも、室内温度が高いと認知機能に影響を及ぼすということが報告されています。(Bock A., 2025)

 

対策案

高齢者向けの熱中症対策に「認知機能保護」の観点を加える
農村部や低所得層への冷房支援を強化
夏場の認知機能低下を防ぐための生活習慣(適切な水分補給、睡眠改善、適度な運動)の啓発

 

今後、より広範な温度範囲(-14°C以下、31°C以上)でのデータ収集が必要です。また、短期間の温度変動(数日単位)の影響を分析することも重要な課題となるかと思います。

 

ということで今回の記事は以上となります!

中国の研究ではありますが、十分日本にも当てはまる内容かと思います!!

 

 

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