こんにちは。
トレーナーのこうた(@trainer_blog)です!
今回は、毎朝ChatGPTから届く情報から、女性スポーツにまつわる論文を見つけたので、シェアいたします!
参考にした論文はこちらです。
女性スポーツに関わるトレーナーさんはぜひチェックしてみてください!
はじめに:スポーツと月経周期の関係
女子アスリートにとって、月経周期がパフォーマンスや怪我リスクに影響を与える可能性があることは長年指摘されてきました。
しかし、具体的なデータに基づく研究はまだ限られており、特に実際の試合やトレーニング中に発生する怪我との関係についての大規模な調査はほとんどありません。
そんな中、2021年に発表された研究(Martin et al., 2021)は、国際レベルの女子サッカー選手を対象に、4年間にわたって負傷データを収集し、月経周期との関連性を分析しました。
その結果、特に「後期卵胞期」と「月経予定を過ぎた状態」での怪我リスクが顕著に高まることが明らかになりました。
本記事では、この研究の詳細をわかりやすく解説しながら、女子サッカー選手が自分の体をより深く理解し、怪我予防に活かすためのポイントを紹介します。
研究の概要
対象と方法
- 対象選手: 2012年~2016年にイングランド女子代表(U15~シニア)に選出された選手
- データ収集:
- 国際大会や代表合宿中に発生した怪我を記録
- 自己申告による月経周期情報(避妊薬の使用状況・最後の月経開始日など)を取得
- 月経周期のフェーズ分類:
- 早期卵胞期(生理開始直後)
- 後期卵胞期(排卵前のエストロゲンピーク)
- 黄体期(排卵後~次の生理開始まで)
研究結果
この研究で最も注目すべきは、後期卵胞期に筋肉・腱の負傷が急増すること、そして「月経予定を過ぎた状態」での負傷率が高いことです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 後期卵胞期に筋肉・腱の怪我が約2倍に増加
怪我の発生率
- 早期卵胞期:31.9件/1,000人日
- 後期卵胞期:46.8件/1,000人日(1.47倍)
- 黄体期:35.4件/1,000人日
後期卵胞期の負傷率は早期卵胞期より47%増加し、筋肉・腱の負傷は約2倍に増加しました。
なぜ後期卵胞期に怪我が増えるのか?
後期卵胞期にはエストロゲンの濃度が急激に上昇します。
これにより、以下の影響が考えられます。
- 靭帯の弛緩: エストロゲンが靭帯の柔軟性を高めることで関節が不安定になり、怪我のリスクが高まる(Shultz et al., 2005)。
- 筋肉・腱の負担増: 腱の硬さが増し、筋肉への負担が増加することで、筋肉の断裂・捻挫・腱損傷が多発(Chidi-Ogbolu & Baar, 2019)。
特に後期卵胞期は、筋肉や腱に負担のかかる動作(スプリント・ジャンプ・急停止)が多いサッカーでは注意が必要です。
② 「月経予定を過ぎた状態」での負傷率が20%
今回の調査では、全体の負傷の20%が「月経予定を過ぎた状態」で発生していました。
「月経予定を過ぎた状態」とは?
通常、月経周期は21~35日程度とされています。
しかし、エネルギー不足やストレスが原因で月経が遅れる(あるいは無月経になる)選手も多いのが実情です。
今回の研究では、怪我発生時の月経遅延日数は0~40日(中央値5日)でした。
「月経予定を過ぎた状態」での負傷リスク
- 36%が関節・靭帯の損傷(通常の周期内の負傷では21%)
- エネルギー不足(RED-S)との関連も指摘
RED-S(相対的エネルギー不足症候群)は、低エネルギー摂取がホルモンバランスを崩し、筋力低下・疲労・回復遅延を引き起こすことが知られています(Mountjoy et al., 2018)。
この状態が続くと、怪我のリスクが高まる可能性があります。
実際にどう対策すればいい?
① 後期卵胞期の負傷予防
後期卵胞期の怪我リスクを抑えるために、以下のようなトレーニング調整が有効です。
✅ 神経筋トレーニング:
- プライオメトリクス(ジャンプ系トレーニング)を適度に取り入れ、着地時の関節安定性を向上
- 体幹強化で膝関節のブレを防ぐ
✅ リカバリーの強化:
- 後期卵胞期は炎症が起こりやすい時期なので、ストレッチ・アイシング・マッサージを徹底
- タンパク質と抗酸化食品(ビタミンC・E)を意識的に摂取
② 月経予定を過ぎないようにエネルギーバランスを調整
- 日々のエネルギー摂取が不足していないかチェック
- RED-Sの兆候(疲労・回復遅延・無月経)があれば、栄養士や医師と相談
- 月経トラッキングアプリを活用し、体の変化を記録
まとめ
- 後期卵胞期に筋肉・腱の負傷リスクが約2倍に増加
- 月経予定を過ぎた状態での負傷率は20%、特に関節・靭帯損傷が多い
- エストロゲンの影響やエネルギー不足が主な要因と考えられる
- トレーニング調整・リカバリー強化・月経管理が重要
女子アスリートは自分の月経周期を把握し、適切なトレーニングとケアを行うことで、怪我のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
ぜひ、この知識を活かして、より良いコンディショニングに役立ててください!
ということで今回のブログは以上となります!
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
スポーツ現場トレーナーに興味がある方は、ぜひ画像をクリックしてみてください!