こんにちは。
トレーナーのこうた(@trainer_blog)です!
近年、アスリートにおける亜鉛の重要性が高まっています。
亜鉛は、免疫機能の維持や抗酸化機能、エネルギー代謝において中心的な役割を果たす必須微量元素であり、特に運動が体に与えるストレスや代謝反応に深く関わっています。
しかし、ある系統的レビューとメタアナリシスの研究によれば、運動選手は非運動者に比べ、血清亜鉛濃度が低い一方で、食事からの亜鉛摂取量が高い傾向があることが示されています。
この結果は、運動選手が亜鉛をより多く必要としている可能性を示唆しており、亜鉛補給のガイドラインや戦略を再考する必要性が高まっています。
本ブログでは、この系統的レビューとメタアナリシスの結果に基づき、アスリートにおける亜鉛代謝の背景、亜鉛補給の重要性とその戦略について詳しく掘り下げていきます!
アスリートが亜鉛に注目すべき理由
運動は免疫機能、筋肉修復、酸化ストレス管理など多方面で亜鉛の需要を高めます。
亜鉛が重要な理由としては、
2.筋肉の回復と抗酸化作用:運動で発生する酸化ストレスから筋肉を保護し、疲労回復を早めるために、亜鉛が抗酸化酵素をサポートします。
3.エネルギー代謝と筋肉の修復:亜鉛はエネルギー生成や筋肉の成長に不可欠で、トレーニング効果を高める役割を果たします。
が挙げられます。
今回の系統的レビューとメタアナリシスが示すように、アスリートは通常の食事で十分に亜鉛を摂取しているにもかかわらず、血清亜鉛濃度が低い傾向があります。
この研究結果は、アスリートが一般的な亜鉛摂取基準では健康を維持するのに不十分である可能性を示しており、食事やサプリメントによる補給方法の見直しが重要だと考えられます。
運動が亜鉛代謝に与える影響、亜鉛不足が選手に及ぼすリスク、そして効果的な補給戦略について詳しく考察していきますね!
*ちなみに亜鉛には薄毛予防の効果があるとかないとか…実は過去の記事で書いてたりするので、興味がある人は探してみてください。笑
亜鉛不足のリスク:健康とパフォーマンスへの影響
亜鉛は免疫機能を強化し、運動により引き起こされる体内の炎症を抑える役割を担います。
亜鉛が不足すると免疫力が低下し、風邪や感染症などにかかりやすくなる可能性が高まり、トレーニング成果や試合のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
また、亜鉛は抗酸化酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の補因子として酸化ストレスを軽減する役割も持ちます。
体内で発生する「活性酸素」を除去する重要な抗酸化酵素
特に、活性酸素の一種である「スーパーオキシド」を無害化する役割を持っています
運動選手は特に激しい運動や長時間のトレーニング後に酸化ストレスの蓄積が増すため、亜鉛の適切な補給が回復や疲労軽減に役立つと考えられています。
運動による亜鉛代謝への影響
運動時には、亜鉛の代謝が急激に変動します。
特に有酸素運動後には血清中の亜鉛濃度が一時的に上昇し、その後急激に減少するという現象が確認されています。
これは、運動中に酸化ストレスや炎症反応が起こり、それらを抑制するために亜鉛が利用されることが関係していると考えられます。
また、運動による発汗も亜鉛損失の一因です。
汗に含まれる亜鉛が運動中に体外へ排出されるため、運動選手は通常の人よりも多くの亜鉛を失いやすくなり、日常の亜鉛補給がますます重要になります。
系統的レビューとメタアナリシスの結果:運動選手の亜鉛濃度と摂取量
今回の研究は、運動選手と非運動者を比較し、亜鉛の血清濃度や食事からの摂取量についての差異をメタアナリシスによって評価しました。
運動選手は、食事からの亜鉛摂取量が対照群よりも高い一方で、血清亜鉛濃度が低いという結果が示されています。
このギャップは運動が引き起こす亜鉛代謝の変化を示唆しており、従来の亜鉛摂取ガイドラインを運動選手に適用するには不十分な可能性を指摘しています。
詳細な研究結果
研究では、運動選手は非運動者と比較して
・亜鉛摂取量は平均2.57 mg/日(95%信頼区間 0.97–4.16)多い
ことが示されました。
このように食事からの亜鉛摂取量が多いにもかかわらず、血清亜鉛濃度が低い理由として、運動によって亜鉛が血液中ではなく他の組織や血球に分配されている可能性が考えられます。
他の亜鉛バイオマーカーの変化
さらに、運動選手は赤血球中の亜鉛濃度が非運動者よりも高い傾向があり、これは炎症や酸化ストレスが原因で血清から赤血球に亜鉛が移行していることが示唆されます。
尿中の亜鉛濃度も一部の研究で運動選手において高い数値が示されましたが、統一した結論には至っていません。
アスリートのための亜鉛補給の実践的戦略
運動選手が効果的に亜鉛を補給するためには、食事の工夫やサプリメントの利用が有効です。
以下は、運動選手に推奨される具体的な亜鉛補給戦略です。
1. 食事からの亜鉛補給
運動選手にとって日常の食事で十分な亜鉛を摂取することは理想的なアプローチです。
特に、
には豊富な亜鉛が含まれています。
これらを毎食の中に意識的に取り入れることで、亜鉛不足を予防できます。
また、豆類や全粒穀物も亜鉛を含みますが、吸収効率が低いため、動物性食品を補足することが効果的です。
*植物性食品には亜鉛の吸収を妨げるフィチン酸が含まれる場合が多いです。
発酵食品を取り入れるか、豆類を水に浸して調理すると効果的と言われています!!
さらにビタミンCは亜鉛の吸収を促進するため、野菜や果物を食事に取り入れると、より効果的に亜鉛が吸収されます!
*魚介類にレモンを絞る等の工夫をするとGoodかも.
2. 亜鉛サプリメントの活用
亜鉛サプリメントは、食事だけで必要量を確保するのが難しい場合に効果的な補助手段となります。
特にトレーニング頻度が高いアスリートや発汗量の多い選手にとって、運動後の亜鉛サプリメント摂取は筋肉修復や疲労回復をサポートします。
しかし、過剰な摂取は消化器系の問題や銅の吸収阻害を引き起こす可能性があるため、適切な用量を守ることが重要です。
*また後日記事にしますが、ドーピングの観点からするとサプリメントは摂取しないことが超理想的ではあります。
サプリメントから摂取する場合は、Informed choice/Informed sport/Banned Substances Control Group(BSCG)。この辺りの認証がされているか確認しましょう。
3. 専門家によるアドバイスの活用
亜鉛摂取方法やサプリメントの使用については、栄養士や医師の指導を受けることが推奨されます。
亜鉛の必要量は運動の強度や頻度、個々の体質に依存するため、適切なアドバイスを得ながら補給方法を最適化することで、健康維持とパフォーマンス向上に役立つでしょう。
今後の課題:新たな研究とガイドラインの必要性
今回の研究結果は、アスリートにおける亜鉛補給基準の再評価が必要であることを示唆しています。
特に、運動中や運動後の亜鉛濃度変動を追跡し、最適な補給タイミングや必要量を明確にする研究が求められます。
また、異なる運動種目(有酸素運動や無酸素運動など)や性別、年齢に応じた細分化されたガイドラインも必要です。
研究の方向性
例えば、有酸素運動に従事する選手と無酸素運動に従事する選手で亜鉛の代謝がどのように異なるかを明確にすることや、長期間の亜鉛補給が運動パフォーマンスに与える影響を評価することは今後の課題です。
これにより、運動種目別や個別に最適化された亜鉛摂取ガイドラインを策定するための知見が得られるでしょう。
まとめ
アスリートは、従来の亜鉛摂取基準を上回る摂取が求められる可能性があり、食事やサプリメントによる補給が重要です。
亜鉛の適切な補給は免疫機能や抗酸化システムの強化、筋肉の回復、疲労軽減に寄与し、運動選手の健康維持とパフォーマンスの向上に不可欠です。
このブログは以上となります!
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
亜鉛。やはり大事ですね。。
アスリートは特に意識して摂取しましょう!!