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日本語版ハムストリングアウトカムスコアの有効性と信頼性を検証

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こんにちは。

トレーナーのこうた(@trainer_blog)です!

 

今回は、2024年10月14日に「Scientific Reports」に掲載された、

「The validity and reliability of a Japanese version of the web-based hamstring outcome score.」

のご紹介です。

※英語分からん!という方は広島大学のHPへ!こちら

 

ハムストリング損傷(Hamstring Strain Injury, HSI)は、陸上競技やサッカー、ラグビーといった競技で多発する一般的な筋損傷です。

 

この研究では、日本語版「ウェブベースハムストリングアウトカムスコア(HaOS)」を開発し、その妥当性と信頼性が検証されました。

 

本記事では、この研究の概要や重要な結果を解説していきます!

 

 

 

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HSIとその管理の重要性

ハムストリング損傷(HSI)は、突然の筋肉の引き伸ばしや過負荷により発生しやすく、再発率が高いことでも知られています。

 

特に短い筋束長やエキセントリック筋力の低下がリスク要因として挙げられます。

しかし、予防策として知られるエキセントリックトレーニングは、筋肉痛によるパフォーマンス低下を懸念して十分に実施されないことも多いのが現状です。

 

このような背景から、定期的に選手のハムストリング状態をモニタリングし、予防や早期対策を行うことが必要です。

 

そのための有効なツールとして、HaOSが注目されています。HaOSは、自己評価形式でハムストリングの症状やスポーツ機能、生活の質などを評価する質問票で、選手の状態を可視化し、リスク評価を行うための強力な指標となります。

 

 

 

研究の概要

本研究では、HaOSを日本語に翻訳し、その妥当性と信頼性を233名の日本のアスリートを対象に検証しました。

これには、陸上競技、サッカー、ラグビーといった競技の選手が含まれています。

質問票の内容は以下の2つのセクションに分かれます。

 

  1. HSIの既往歴
  2. 症状、痛み、筋肉痛、スポーツ機能、生活の質に関する19項目の質問

 

選手たちは、Googleフォームを使用して週次で回答を行い、その後、回答データを基に信頼性(テスト・再テスト信頼性、内部一貫性)や妥当性が検証されました。

 

https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/88248より引用

 

 

研究結果の詳細

1. 回答率と質問票の受容性

233名の選手のうち、84.4%が質問票に回答しました。

また、追加で実施された内容妥当性の確認では、ほとんどの選手が「質問が競技に適切」「回答が難しくない」「変更が不要」と回答しました。

 

この結果から、質問票の受容性が非常に高いことが示されました。

 

 

2. 信頼性の評価

信頼性の評価では、テスト・再テスト信頼性が重視されます。

この信頼性を表す指標の一つが ICC(Intraclass Correlation Coefficient、級内相関係数) です。

 

ICCは、同じ対象が複数回テストされた際の一貫性を評価する指標で、0から1の範囲で示されます。

値が1に近いほど信頼性が高いことを意味します。

 

  • 0.75未満: 信頼性が低い
  • 0.75〜0.90: 適度から高い信頼性
  • 0.90以上: 非常に高い信頼性

 

この研究では、以下の結果が得られ、すべての項目でICCが適度から非常に高い信頼性を示しました。

 

  • 症状: 0.84
  • 筋肉痛: 0.83
  • 痛み: 0.83
  • スポーツ機能: 0.80
  • 生活の質: 0.88

 

さらに、内部一貫性(質問項目間の整合性)を示すCronbach’s αは以下の通りです。

  • 筋肉痛: 0.94
  • 痛み: 0.96
  • スポーツ機能: 0.92
  • 生活の質: 0.72

 

これらの結果は、HaOSの日本語版が選手の状態を的確に測定するために適切であることを示しています

 

 

3. HaOSスコアとHSI既往歴の比較

  • 健康な選手のHaOS総スコア: 93.4 [78.9, 100]
  • HSI既往歴あり選手のHaOS総スコア: 86.2 [68.1, 100]

 

過去にHSIを経験した選手のスコアは、全体的に有意に低い結果となりました(p<0.05)。

 

さらに、HSI既往歴の再発回数によるグループ分け(1回 vs 2回以上)でも、再発回数が多いほど、スコアが低下する傾向が明らかになりました。

特に「症状」「筋肉痛」「生活の質」の3つのサブスコアにおいて顕著でした。

 

 

 

4. 再発リスクの評価

再発のリスク要因として、HaOSスコアが80%以下の選手が再発の高リスク群として分類されることが示唆されています。

このスコアに基づき、選手の早期復帰が適切かどうかを判断するための基準として利用できます。

 

 

 

スポーツ現場トレーナーとしての活用方法

1. 選手の定期モニタリング
HaOSを活用することで、選手のハムストリング状態を定期的に評価し、問題が潜在化する前に対策を講じることが可能です。
特に再発リスクの高い選手に対しては、トレーニングメニューの見直しやリハビリ計画の再考に役立てることができます。
2. 競技復帰の判断基準
HSIからの復帰を判断する際に、HaOSスコアを基準とすることで、無理な早期復帰を防ぐことが可能です。
これにより、再発リスクを低下させ、選手の競技生活を長期的に守ることができます。
3. チーム全体の健康管理
本研究では、インターネットベースの質問票が利用されており、選手への負担が少なく、大人数のモニタリングが可能であることが示されました。
トレーナーが複数の選手を同時に管理する際の効率化に大いに貢献するでしょう。

 

https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/88248より引用

 

結論

本研究は、日本語版HaOSの妥当性と信頼性を明確に示しました。

このツールは、選手のハムストリング状態の定期的なモニタリング、再発リスクの評価、そして競技復帰の適切な判断において非常に有用です。

 

ということで今回のブログは以上となります!

日本語版HaOSは、英語論文内の supplementary information からダウンロードできます。

 

ここにダウンロードできるようにPDFを貼ることもできますが、ぜひ最後はご自身でダウンロードページを探し出してみてください。

 

 

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