熱中症は年々増加傾向にあり、その早急な対策が求められています。
熱中症には労作性と非労作性があり、体を動かしていない時でも熱中症は発生します。
そのため、労作性と非労作性では求められる対策が若干違いますが、”水分補給”に関して共通して言えることです。
特に若者の多くは運動中に熱中症になっているため、運動前/運動中にどのような対策をとるかが重要になってきます。
予防・対策については1つ前の記事で詳しく説明しています。
≫≫熱中症の予防・対策を徹底解説!現役スポーツトレーナーが実践している方法を紹介します
今回は水分補給に着目し、何をどのくらい飲めばいいのか。を徹底解説していきます!
・運動をよくする方
・熱中症に一度なったことがある方
熱中症対策としての水分補給
まず大前提として、水分補給は大事ですがただの”水”での水分補給はよくありません。
大量の汗をかいているにも関わらず、水のみを補給してしまうと、
のリスクが高くなります。
イメージはこんな感じです。
熱中症には症状や病態によって4つに分類されますが、水のみの水分補給をした結果起きるのが熱痙攣です。
いわゆる足が攣ってしまう状態です。
これは水のみを補給した場合に起こります。
また、そもそも水分が足りていないと、熱疲労といってより重い症状が現れます。
そのため、まずは水以外の塩分や糖分を含んだドリンクを飲むことが重要になってきます。
熱中症の分類や各病態の症状などは過去の記事で詳しく取り上げています!
≫≫熱中症のレベル(重症度)を徹底解説!子供・高齢者はよりリスクが高いため注意が必要
水分補給の種類
水以外で水分補給となると、一体何を飲めばいいのでしょうか?
答えはシンプルで
になります。
しかし、一括りにスポーツドリンクと言っても、大きく2つの種類が存在します。
それが、
・ハイポトニック飲料(低張液)
の2種類です。
それぞれどのような時に飲めばいいのか。解説していきます!
アイソトニック飲料(等張液)
アイソトニック(等張液)とは、
の飲料のことです。
要は、安静時や運動前に摂取することにより、素早く体内に吸収することができる飲料となります。
逆に運動中は人の体液の浸透圧は低くなるため、運動時に飲むと吸収が遅くなってしまいます。
市販されているドリンクだと、
・アクエリアス
・グリーンダカラ
などがアイソトニック飲料に分類されます。
これらの飲料を運動前に飲むことをおススメします。
大量の発汗を伴うときはその限りではない
しかし、公益財団法人日本スポーツ協会の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」には、1時間に2リットルなどの多量な発汗を伴う運動中には、
を含んだ飲料をすすめています。
そしてこの塩分と糖分はポカリスウェットやアクエリアスなどのアイソトニック飲料が当てはまります。
要は気温が凄く高く、発汗量が多い場合は吸収速度は遅くてもアイソトニック飲料を飲んだ方がいいということになります。
ハイポトニック飲料(低張液)
ハイポトニック(低張液)は、アイソトニックよりも塩分や糖分が低めで、
の飲料のことを指します。
こちらは先ほどのアイソトニック飲料とは逆で、
運動中に吸収速度が速まる
ため、運動中の飲料として適しています。
市販されている飲料だと、
・アミノバイタルGOLD
・ダイエット/カロリー0系飲料
などがハイポトニック飲料に分類されます。
ただ前述したように、大量の発汗を伴う場合はアイソトニック飲料の方がいい場合もあります。
スポーツドリンクを薄めるのはあり?
よく「アイソトニック飲料(ポカリスウェットやアクエリアス)を薄めて、運動中に飲むのはいいですか?」と聞かれることがあります。
まずポカリスウェットを販売している大塚製薬は
と断言しております。
理由としては、「水分とイオン(電解質)のスムーズな吸収」を探求し、現在の内容成分に決定しているから。というもの。
薄めてしまうとこのバランスが崩れてしまうということですね!
ただ、薄めることで塩分・糖分が薄まり、運動中の吸収速度は早まります。
その為、気温がそこまで高くなく、そこまで激しい運動をしない場合は薄めるという選択肢もありかもしれません。
ただ注意していただきたいのは、
ということです。笑
濃すぎても薄すぎても体への吸収速度は遅くなります。
なので、感覚で薄めるのは正直あまりおススメはできませんね。。
水分補給量の目安
飲むべきスポーツドリンクの種類は分かったけど、どのくらいの量を飲めばいいのでしょうか?
ただ今回の摂取量に関してはあくまでも目安になります。
気温や湿度、またはWBGTなどの温度を考慮し、変えていくのがいいかと思います。
それでは運動前と運動中の2つに分けて、説明していきます!
運動前の水分補給の目安
まずどちらにも共通して言えることは、
に水分補給をするということです。
さらに運動後の
になるように水分補給を心がけましょう!
これを前提に話を進めていきます!
まず運動前ですが、運動開始数時間前に
の水分補給(できればアイソトニック飲料)をしましょう。
60kgの方なら、300ml~600mlくらい。
ポカリスウェットやアクエリアスのペットボトルを1本飲むイメージですね。
運動中の水分補給の目安
次に運動中の水分補給量の目安です。
繰り返しになりますが、喉が渇く前にこまめに水分補給をすること。
そして、大量の発汗がある場合はアイソトニック飲料の摂取を考慮すること。
これを踏まえた上で、運動中の摂取目安は
をこまめに補給(ハイポトニック飲料)することが望ましいです。
もちろん個人差があったり、気温・湿度によってはもっと多く摂取した方がいい場合もあるでしょう。
種類によって水分補給量が変化する
これはどういうことかというと、運動中に何を飲むかによって、水分摂取量が変化するということ。
要はたくさん飲もう!だけじゃなく、何を飲むかも重要になってくるということです。
ある研究で水・アイソトニック飲料・ハイポトニック飲料の3つのどれを飲むかで水分摂取量にどのような違いがあるかを調べたものがあります。
その研究によると、
この順番で摂取量が多かったとのこと。
要は水のように味が全くしないものは、やはり飲む量が少なくなってしまい、逆にアイソメトリックのように糖分が濃いものも水分摂取量が少なくなってしまうということです。
このような観点からも、やはり運動中はハイポトニック飲料が最も適しているのかもしれません。
経口補水液について
ハイポトニック飲料に分類される”経口補水液”をご存じでしょうか。
もっとも有名な製品が「OS-1(オーエスワン)」ではないでしょうか。
この経口補水液は、食塩とブドウ糖をバランスよく配合し水に溶かした飲料です。
経口補水液は、あくまでも脱水状態の時に適した飲料なので、運動前や運動中はスポーツドリンクで充分だと思います!
結論:熱中症対策はドリンクの種類と量を意識
今回の記事をまとめると、
・運動中にはハイポトニック飲料400~800ml/hをこまめに摂取。
ということになります。
また例外として、大量の発汗を伴う場合は運動中であってもアイソメトリック飲料がいい場合もあります。
そしてすでに脱水状態になってしまった場合は、経口補水液を摂取するようにしましょう!
今回は水分補給に着目して熱中症対策について書きましたが、水分補給以外の対策については過去の記事をご覧ください!
≫≫熱中症の予防・対策を徹底解説!現役スポーツトレーナーが実践している方法を紹介します