皆さんは一日に何個卵を食べていますか?
卵は「完全栄養食品」と呼ばれており、一見健康の為にはたくさん食べたほうが良さそうに感じるかもしれません。
しかし、実は卵を一日にたくさん食べ過ぎると心筋梗塞のリスクや死亡リスクが上昇するのではないかと指摘されているのです。
トレーニングをしている方なら積極的に食べているであろう卵が、実は健康を害する可能性が出てきたのです。
この記事では、卵が本当に健康を害するのか、研究結果等を用い解説していきます!
もし仮にこれが本当なのであれば、筋トレしている方達は卵摂取をかなり控えなくてはいけません。
・積極的に卵を食べている
・卵が大好き
「完全栄養食品」の卵
皆さん卵が「完全栄養食品」と言われているのをご存知でしょうか。
完全栄養食(完全食)とは、
のことを指します。
卵は、
ビタミンCと食物繊維
以外の栄養素をほとんど含んでいる為、「ほぼ完全栄養食品」と言えるでしょう。
その為、卵は積極的に摂取した方が良いとも言われていたんですね。
卵とタンパク質
トレーニーがよく卵を摂取する理由は、タンパク質が豊富だからです。
全卵1つあたり、タンパク質は約6.4g含まれています。
しかし、卵の脂質は全て黄身に含まれていることから、トレーニーはよく卵白だけを摂取したり、卵白を多めに摂取しています。
卵1つでタンパク質が6g摂れるのはかなり嬉しいです。
しかし、気になるのはコレステロールですよね。
卵の大量摂取は健康に悪いのか
結論から言います。
卵の大量摂取は、
です。
後ほど説明しますが、女性は特に注意が必要かもしれません。
卵にはコレステロールが多く含まれる
日本人の1日の平均コレステロール摂取量は約300mgと言われています。
そして、2015年に「日本人の食事摂取基準」が改定されるまで、コレステロールの上限摂取量は、
女性=上限600mg/日
とされていました。
では卵1つにはどのくらいのコレステロールが含まれているのでしょうか?
卵1つあたりに含まれるコレステロールは、
と言われています。
要は、1日3つ食べたら簡単に上限に達してしまうのです。
コレステロール摂取目標量を撤廃
厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」でコレステロールの目標量を撤廃しました。
その理由は、
としています。
食事のコレステロール摂取量を制限しても、血中コレステロール値に影響はないということが分かったのです。
私達の血中コレステロールの7割近くは肝臓で合成されており、そもそも食事からの影響は少ない。
さらに、食事から摂取する量が多ければ、体内で合成される量を減らし、食事から摂取する量が少なければ、体内で合成される量を増やし、常に一定量に保つように出来ているのです。
大量のコレステロールを摂取したら?
私は、ここである疑問が生まれました。
「食事から摂取する量が多ければ、体内で合成される量が減る」
これが事実だとしても、結局大量のコレステロールを摂取したら、血中のコレステロール値は上がるんじゃないの?と。
血中のコレステロールが常に一定に保たれているのであれば、食事から摂取するコレステロールを減らしても、変化がないのは当たり前ですよね。
そこだけに着目し、関係なかった!と決めつけてしまうのはどうなのでしょうか。
卵摂取で血中コレステロールは高くなる?
では実際に卵を摂取するとコレステロールは上昇するのでしょうか?
検索して調べてみると、
「卵に含まれるレシチンが、コレステロールの蓄積を抑える役割がある為、卵を食べてもコレステロール値は上昇しない」
と、いくつかのサイトに書かれています。
しかし、肝心な引用論文が載っていない…
しかもだいたいそのようなサイトって、卵を販売しているサイトなんですよね。
それは、マイナスイメージになるようなことは書かないよなーと納得。
問題なのはLDLコレステロール
血中コレステロール値が高いのも問題ですが、やはり一番問題なのは悪玉と言われるLDLコレステロールが高いこと。
では、このLDLコレステロールの上昇に関与するのは何なのでしょうか?
2.コレステロール
この2つが原因として挙げられます。
よく、卵のコレステロールだけに着目されがちですが、飽和脂肪酸もコレステロール値には関係します。
となると。コレステロールは問題ないとしても、じゃあ飽和脂肪酸はどうなの?という疑問が残ることになります。
卵摂取とLDLコレステロールの関係性
では卵の摂取と血中のLDLコレステロールには何か関係性があるのでしょうか?
メタ分析で、
卵以外の食事は同じにし、卵を食べる量を増やした時に、血中のLDLコレステロールはどのように変化するのか
を調べたものがあります。
これは17の研究を1つにまとめ、結論どうなのよ?と分析したものです。
結論は、
ということでした。
1日2個あたりの摂取なら、そこまで影響はなさそうですが、1日3・4つと食べると明らかにLDLコレステロールが上昇しています。
先ほども言いましたが、17の研究を元に導き出されたものなので、信憑性はかなり高いでしょう。
原文はこちら
≫≫https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
コレステロールが高いと心筋梗塞のリスクが上がる?
じゃあ血中コレステロールが高いことがなぜ危険なのでしょうか?
それは、
からです。
実際に血中のコレステロールが高くなると、それに比例して心筋梗塞死亡率も高くなるというメタ分析があります。
ここまで聞くと、じゃあ卵を大量に摂取すると血中コレステロールが上がり、心筋梗塞のリスクが高くなる!と思いますよね?
卵摂取で心筋梗塞のリスクが上がるのか
卵を摂取することで、血中LDLコレステロールは上昇します。
そして血中コレステロールが高いと、心筋梗塞のリスクは高くなるので、卵を取ることで心筋梗塞のリスクが上がるのではないか?という疑問がでてきます。
実際に卵の摂取量と心筋梗塞の発症率を調べたコホート研究があります。
その分析結果によると、
だったのです。
しかし、これは卵を1日1.5個以内に抑えた場合であり、それ以上食べた場合の関係性は分かっていません。
心筋梗塞の原因はコレステロールだけではなく、喫煙や高血圧などもある為、卵の摂取だけでリスクが左右されるわけではなさそうです。
アメリカ人では卵摂取で心血管系疾患のリスク増
2019年に発表されたアメリカ人を対象にした前向きコホート研究6件のデータを分析した論文によると、
卵の摂取とCVD(心血管疾患)及び全死亡率には関連性が認められた
というのです。
要は、
したのです。
これはかなり最近の研究であることと、約3万件のデータを用いている為、なかなか信憑性は高そうです。
これがアジア人や日本人に適応されるかは分かりませんが、かなり興味深い結果となりました。
原文はこちら
男性よりも女性は要注意?
「NIPPON DATE90」では、
と発表したのです。
要は女性の場合、卵は少し控えた方がいいかもしれない。という結果になったのです。
しかし、CVD(心血管疾患)との関連性は認められませんでした。
これは日本人女性を対象にした調査なので、女性の皆さんは気を付けた方がいいでしょう…
卵は1日何個食べていいのか
正直、この結論は出ていません。
食べてはいけない訳ではないですし、大量摂取した場合は、心筋梗塞のリスクが上がる恐れがあるかもね程度です。
現在の研究結果からすると、
くらいで抑えておくのが一番ベターかもしれません。
トレーニーの方で1日に大量に卵を摂取している方は、血液検査で高いコレステロール値がでてしまった場合、卵は控えた方が良いと言えるでしょう。
女性では、
2.1日1個
の場合、1の方が癌の死亡リスクが有意に低かったという結果があるので、1週間に1,2個で抑えた方がいいかもしれません。
結論:卵の大量摂取は健康に悪いかも…
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」でコレステロールの目標量が撤廃されたからと言って、無制限に食べていいわけではありません。
卵に含まれるコレステロールは依然高い訳ですし、LDLコレステロールを上昇させる研究結果もでています。
色々なサイトで
「気にしなくて大丈夫だよ!」
と言われていますが、それはそうですよね。
だって卵摂取と心筋梗塞の発症率に相関がなかったのですから。
でも、関係ないとされている研究でも、1日1.5個までの摂取だったので、それ以上の摂取のリスクは不明です。
現にアメリカ人を対象にした調査では、卵摂取とCVD・全死亡率との関連性が認められています。
普通に考えれば、卵を大量摂取すればLDLコレステロールが上昇し、心筋梗塞のリスクも上昇するのでしょうが、これはあくまで憶測の域を出ないものです。
1日2個までの摂取なら今のところ問題はないと言えますが、それ以上は自己判断で摂取すべきでしょう!