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血中オメガ3およびオメガ6脂肪酸ががんリスクに与える影響:大規模研究の最新結果と部位別リスク解析

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こんにちは。

トレーナーのこうた(@trainer_blog)です。

 

朝面白い論文を見つけたので、皆さんに内容をシェアします!!

その論文がこちら

「Associations of plasma omega-6 and omega-3 fatty acids with overall and 19 site-specific cancers: A population-based cohort study in UK Biobank」

 

オメガ3およびオメガ6脂肪酸は、健康維持に不可欠な必須脂肪酸として広く知られ、がん予防や治療における役割が注目されています。

 

特に、炎症の抑制や細胞シグナルの調節といった機能を持つため、さまざまな種類のがんに対する影響が期待されていますが、これまでの疫学研究では一貫した結果が得られていませんでした。

 

UK Biobankを用いた最新の研究においては、血漿中のオメガ3およびオメガ6脂肪酸の濃度と、全体および19部位別のがん発生リスクとの関連性を調査しています。

 

今回の結果は、がん予防や健康政策、食生活指導における具体的な指針の提供に役立つ可能性があります。

 

 

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研究の背景

がんは世界的に重大な健康問題であり、特に乳がん、肺がん、大腸がんの3種類で全体のがん罹患の30%以上を占めています。

 

過去の研究では、オメガ3およびオメガ6脂肪酸ががん発生に対して抑制的な役割を果たす可能性が示唆されていますが、脂肪酸の摂取量を自己申告する手法に依存していることが多く、食事パターンの差異や記憶の不正確さが影響するなどの限界がありました。

 

UK Biobankは、500,000人を超えるイギリスの成人を対象とする大規模前向きコホートであり、血漿中の脂肪酸濃度を含む詳細な生体データが揃っているため、オメガ3およびオメガ6脂肪酸とがんリスクの関連性について、より正確な評価が期待されます。

 

 

研究方法

2006年から2010年にかけてUK Biobankは、イギリスの成人を対象に生活習慣や生体サンプルを収集しました。

本研究では、血漿中オメガ3およびオメガ6脂肪酸濃度が計測された253,138人のデータを用い、がん発生率との関連を分析しました。

 

追跡期間は平均12.9年で、NHSがん登録データを基に全体および部位別のがんリスクを評価しています。

 

対象としたがん部位は、頭頸部、食道、胃、大腸、肺、乳腺、前立腺など計19種類です。また、性別、年齢、BMI、喫煙習慣、運動量、社会経済的地位などを調整し、多変量コックス比例ハザードモデルにより解析を行いました。

 

 

結果

オメガ3およびオメガ6脂肪酸濃度とがんリスクの関連性について、全体および部位別のリスク低減効果が確認されました。主な結果は以下の通りです。

 

1. 全体的ながんリスクの低減効果

オメガ6およびオメガ3脂肪酸濃度の増加は、全体的ながんリスクの低下と関連が見られました

 

オメガ6脂肪酸濃度が1標準偏差(SD)増加するごとに全体のがんリスクが2%減少(HR = 0.98、95% CI = 0.96–0.99)

オメガ-3脂肪酸濃度では1%減少(HR = 0.99、95% CI = 0.97–1.00)という結果でした。

 

このことから、血中濃度の高いオメガ-6およびオメガ-3脂肪酸が全体的ながんリスク低減に寄与する可能性が示されました。

 

 

2. 部位別がんリスクとの関連性

オメガ6脂肪酸の影響
19部位のがんのうち13部位で、オメガ6脂肪酸濃度の増加とリスク低減の関連が見られました。
胃がん、大腸がん、肝胆道がん、肺がん、頭頸部がん、食道がん、子宮がんなどにおいて有意なリスク低減効果が確認され、特に大腸がんと肝胆道がんに対する保護効果は顕著で、オメガ6脂肪酸の1標準偏差増加ごとに大腸がんのリスクが19%低下(HR = 0.81, 95% CI = 0.73–0.91, p < 0.001)しました。

 

オメガ3脂肪酸の影響
オメガ3脂肪酸濃度は5種類のがん(胃がん、大腸がん、肝胆道がん、肺がん、頭頸部がん)においてリスク低減と関連しました。
胃がんでは1標準偏差増加ごとにリスクが15%減少(HR = 0.85, 95% CI = 0.73–0.98, p = 0.031)、大腸がんでは19%のリスク減少(HR = 0.81, 95% CI = 0.73–0.91, p < 0.001)という結果が得られ、特に消化器系がんのリスク軽減に効果があることが示唆されました。

3. 前立腺がんにおける例外的なリスク増加

前立腺がんについては、オメガ3脂肪酸の高濃度が逆にリスク増加と関連し、1標準偏差増加ごとに3%リスクが上昇(HR = 1.03、95% CI = 1.01–1.05)しました。

 

この結果は、前立腺がんのリスクにはオメガ3脂肪酸が予防効果を持たない可能性があり、むしろ高濃度ではリスクが増加することを示しています。

 

考察と解釈

本研究は、血中のオメガ6およびオメガ3脂肪酸が部位別のがんリスクにどのような影響を与えるかを包括的に評価した初の大規模コホート研究です。

 

特にオメガ6脂肪酸が複数の部位でのがんリスク低減に関与する可能性が確認され、これらの脂肪酸が抗がん効果を有する可能性が強く示唆されました。

一方で、前立腺がんに関するオメガ3脂肪酸の影響には例外が見られ、この脂肪酸の作用ががん部位によって異なる可能性を示しています。

 

前立腺がんにおけるリスク増加は、血中オメガ-3濃度の増加に伴うアンドロゲンレベルの変化や炎症反応が関与している可能性があり、さらなるメカニズム解明が求められます。

 

 

研究の限界と今後の展望

本研究にはいくつかの限界が存在します。

まず、血中脂肪酸濃度を測定することで摂取量の影響を反映している一方、食事パターンやサプリメントの影響が詳細に評価されているわけではなく、脂肪酸の摂取源ごとの違いを考慮していません

 

また、前立腺がんにおけるリスク増加の原因として考えられるアンドロゲン関連の影響や、遺伝的要因についての調査も今後の研究で検討する必要があります。

 

臨床応用と公衆衛生への貢献

今回の研究は、オメガ-6およびオメガ-3脂肪酸が多くのがんリスクに対する保護効果を持つ可能性を示しており、特にオメガ-6脂肪酸の血中濃度が高いことがリスク低減に寄与することが分かりました。

 

公衆衛生の観点からも、脂肪酸摂取のガイドラインの見直しや、がん予防を目的とした生活習慣の改善指導においても役立つ可能性があります。

 

 

結論

UK Biobankデータに基づく本研究は、オメガ6およびオメガ3脂肪酸の血中濃度が、全体および部位別のがんリスクにどのように影響するかを初めて体系的に示したもので、がん予防のためのエビデンスとして貴重な知見を提供しています。

 

特に、オメガ6脂肪酸の高濃度が全体的および複数の部位別がんリスクの低減に関連し、一方でオメガ3脂肪酸の前立腺がんリスク増加との関係が示されたことから、今後のがん予防研究およびガイドライン構築に重要な示唆を与えています。

 

ということで今回のブログは以上となります!

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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