皆さんマスクに細菌やウイルスを防ぐ効果はないと聞いたことはありませんか?
確かにマスクの穴は、細菌やウイルスよりも大きいです。
ただ、それだけの理由で効果がないと断言していいのでしょうか?
そもそも穴と言っても、ポッカリと大きく空いているわけではなく、複雑に絡み合った繊維にどうしても隙間が出来てしまい、それが細菌やウイルスよりも大きいという話。
そのような複雑に絡み合った繊維の隙間を通り抜けることはできるのでしょうか。
実際のところはどうなのか、マスクの効果を説明しながら予防効果について考察していきます!
・予防効果があるのか知りたい
・マスクなんて不要だと思っている
マスクは新型コロナウイルス感染症予防に効果がないのか
結論からいいますと、2020/8/13時点では、
です。
しかし、予防効果があると示唆する研究はいくつか上がってきています。
ここ数日、コロナは怖くない!とマスクを使用しない集団が増えてきています。
確かにコロナはそこまで恐ろしい感染症ではないのかもしれませんが、もしマスクに予防効果があるのならマスクをするのがエチケットではないでしょうか。
もし感染した場合は、あなだだけの問題ではなくなりますから。
マスク着用推奨後に感染者減少?
https://www.pnas.org/content/117/26/14857 から引用
上記の図はニューヨークとアメリカ全体を比較したものです。
図を見て頂くと分かりますが、「ソーシャルディスタンンス」と「ステイホーム」ではあまり感染予防に効果があったとは言い難い結果になっています。
むしろアメリカだけを見た場合、ステイホーム中にも感染者は増加していっています。
そして一番見て頂きたいのが、ニューヨークのマスク着用を推奨した後の感染者の推移です。
アメリカ全体では感染者が増えているものの、ニューヨークだけ感染者が減少しています。
これはイタリアでも同様の傾向が見られました。
これらの結果からマスク着用は、新型コロナウイルス感染症予防に一定の効果があったことを示唆しています。
効果があった!と断言はできないかも…
マスク着用で濃厚接触者への感染が防げた?
お次もアメリカからの報告です。
2020年5月に2人の美容師が新型コロナウイルスに感染しました。
1人は8日間、もう1人は5日間、呼吸器の症状がありながらもマスクを着用し、139人のお客さんの髪を切っていたそうです。
しかし、お客さんやお店のスタッフで感染者は出なかったというのです。
これらの結果も先ほど同様、マスク着用が新型コロナウイルスの感染予防に効果的であったことを示唆しています。
これも断言できるレベルではないかもね。
【参考文献】
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6928e2.htm?s_cid=mm6928e2_w
WHOも新型コロナウイルス対策としてマスク着用を推奨
WHOは当初、「症状がなければマスク着用は必要ない」とし、健康な人がマスクを着用しても感染が予防できる根拠がないとのスタンスでした。
しかし、2020/6/5にソーシャルディスタンンスが保てない場合は、医療従事者だけでなく一般市民もマスクをつけるべきだと指針を大幅に変更しました。
ただあくまでも、マスクだけでは予防することが出来ない為、ソーシャルディスタンンスの確保・手指消毒・その他の公衆衛生対策は必要とのこと。
なぜマスク着用で感染者が減ったのか
ではなぜ、ウイルスよりも大きな穴があるマスクに予防効果があると言われているのでしょうか。
大きな理由としては主に2つ考えられます。
2.ファンデルワールス力が働く
それぞれ説明していきますね!
飛沫感染には一定の効果がある
・咳・くしゃみ・発音の際に、飛沫と一緒にウイルスが放出され、眼・鼻・口などから感染する経路のこと
・比較的大きな粒子とくっつくので長く空中に彷徨うことはない
・病原体が飛沫核に付着し、これを吸い込むことで感染する経路のこと
・小さな粒子とくっつくので長く空中に彷徨い、比較的長い距離にまで影響を及ぼす
細菌やウイルスが感染する経路には、飛沫感染、空気感染、接触感染の3つがあります。
そして、新型コロナウイルスは飛沫感染・接触感染することは明らかになっていますが、空気感染については可能性がゼロではないとの見解に留まっています。
今のところ、主な感染経路は飛沫感染と接触感染だと考えられています。
接触感染は手指消毒やうがいの徹底が求められるかもしれませんが、飛沫感染にはマスクが有効なのです。
飛沫はマスクの穴を通りにくい
マスクの種類によっても穴の大きさは異なりますが、一般的な不織布マスクの大きさは、5μmと言われています。
図を見て頂くと分かりますが、飛沫の定義は5μm以上の為、マスクの穴と丁度同じくらいということになります。
飛沫感染は、ウイルスが飛沫にくっつき、それが口・眼・鼻などから感染することと説明しましたが、飛沫ならマスクでキャッチできる確率がかなり高くなります。
その為、マスクをしても意味がない!なんてことはないのです。
ファンデルワールス力が働く
2つ目の理由は、ファンデルワールス力が働くからです。
このファンデルワールス力は原子や分子での話なので、大きい物体には作用しません。
要は、マスクの繊維の間をウイルスが果敢にくぐり抜けるように感じますが、ファンデルワールス力によって繊維に当たるとくっついてしまうのです。
他にも、静電気や重力など影響を受け、繊維にくっつく確率はかなり高くなります。
マスクは相手もつけている
毎回マスクの効果を説明する時に、”マスク1枚の効果”として評価されますが、実際はどうでしょうか?
街中では9割以上の方がマスクをしています。
これって飛沫を飛ばす側もマスクをしているし、飛ばされる側もマスクをしている状態なので、実質マスク2枚じゃないですか?笑
尿で例えるマスクの重要性が妙に説得力あった
二人とも裸でおしっこかけられたら濡れるでしょ。でもあなたがズボン履いてたらまあまあ防げるでしょ。でも二人ともズボン履いてたら相手がおしっこで濡れてあなたは全く濡れないでしょ。だからマスクをするのって大事なわけ。 pic.twitter.com/ykgbjYFCO1
— mikiko🇳🇿NZのトレーナー (@mkkoMIX) August 13, 2020
NZでトレーナーをされているmikikoさんがこのような画像を添えてツイートをしていましたが、まさにその通りだと思います。
マスク着用の際の注意点
じゃあマスクをつけておけば安全かというとそんなわけはありません。
下記の点にはしっかりと注意をしましょう!
- 顎や鼻とマスクの隙間を極力なくす
- マスクにウイルスが付着している可能性がある
- 屋外でのマスク着用による熱中症
顎や鼻とマスクの隙間を極力なくす
マスク自体の性能は先ほど説明したように間違いありません。
しかし、マスクと鼻や顎との間に隙間が出来てしまうと、その隙間をウイルスが入り込んできます。
たまに顎や鼻がマスクから出ている人がいますが、そのような付け方は全く効果なしと思っていいでしょう。
しっかりと自分の輪郭にフィットするマスクを選ぶのも、予防の観点ではとても重要になってきます。
マスクにウイルスが付着している可能性がある
静電気、重力、ファンデルワールス力などによりウイルスがマスクの繊維に付着している可能性は大いにありえます。
その為、マスクの着脱時には、
が重要です。
その為、マスクの紐だけを触り、着脱するようにしましょう。
仮にマスク本体部を触ってしまった場合は、手にウイルスが付いていると思って、早急に手指消毒することをオススメします。
屋外でのマスク着用による熱中症
これは屋外だけに限りませんが、特に屋外では注意が必要です。
マスクを着用していると、鼻や口周りの湿気は高くなり、喉の渇きを感じにくくなります。
実際に体の中では脱水状態になっていても、それに気付くことが出来ず、熱中症になるケースは大いにあると思います。
そのリスクについてはこちらの記事でもご紹介しています。
≫≫2020年は新型コロナの影響で熱中症が増える?トレーナーはより一層の予防策を
結論:マスク自体に新型コロナウイルス感染症を予防する効果はありそう
マスクの性能から見てもマスクをすることで新型コロナウイルス感染症を予防することが可能だと考えられます。
しかし、マスクの着脱法や、装着時の隙間、マスクの種類によっては効果を発揮してくれない場合もあります。
マスクをつけているから安全!ではなく、あくまでも感染予防の1つとして、他の対策をしっかりと行いましょう!
ちなみに色々な種類のマスクが販売されていますが、WHOでは3層のマスクが推奨されており、医療用のマスクが一番無難かと思います。