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乳酸は疲労物質ではない!

乳酸は疲労物質ではない!疲れの原因は一体何なのか?原因を徹底解説!

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皆さん激しい運動をした後に

「乳酸が溜まってる!」

と言ったことはありませんか?

 

どこかで乳酸=疲労物質だと体に刷り込まれていませんか?

 

実は10年以上も前から乳酸は疲労物質ではないことが分かっています。

 

じゃあ乳酸って一体何者なのか?疲労の原因は何なのか?

この記事でその疑問を全て解消します!

 

 

・乳酸=疲労物質だと思っている
・乳酸について知りたい
・疲労の原因について知りたい
アスレティックトレーナー、日本トレーニング指導者、鍼灸師等の多資格を駆使しながら、ラグビーチームのトレーナーをしている筆者が論文&実体験を交えて執筆しております。
しーやん
乳酸が溜まってるー!ってよく言っちゃうよね。

 

 

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乳酸とは?

乳酸は疲労物質なのか?

乳酸とは、

解糖系でピルビン酸が分解される際に生じる生成物

です。

 

これだけではいまいちピンときませんよね。。

 

そもそも解糖系とは?ピルビン酸とは?ということを説明していきますね。

 

 

乳酸ができる過程

乳酸ができる過程

乳酸には「糖の分解」が深く関わります。

 

私達が口から摂取した糖質は、グルコースという状態まで消化され、体内に吸収されます。

 

そして吸収されたグルコースは、そのままエネルギー源として利用されるか、グリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられます。

 

脂質やたんぱく質もエネルギー源であるATPを生成する為には欠かせませんが、乳酸が関わってくるのはグルコースからATPを生成する経路です。

 

 

解糖系について

グルコースを利用してATPを生成する代謝経路を解糖系と言います。

 

https://hatchobori.jp/blog/5937 より引用

 

上記の図には記載されていませんが、グルコースが10段階の反応を経て、ピルビン酸に変換され、その際に私たちのエネルギー源であるATPが少量生成されます。

 

そしてピルビン酸がミトコンドリア内に入り、酸素を利用することでより多くのATPを得ることができます。

 

ただし、この

ピルビン酸がミトコンドリア内に侵入できる量

には限りがあります。

 

侵入できなかったピルビン酸は一度乳酸に姿を変える。この時に乳酸が生成されるのです。

 

 

乳酸が増える時はどんな時?

疑問

では、ミトコンドリア内にピルビン酸が入れず、乳酸が増えてしまう時ってどんな時なのでしょうか?

 

それはシンプルですが、

グルコースが多く使われている時

になります。

 

私達がエネルギー源を作り出す時、いち早くATP生成ができるのが解糖系です。

 

なので、短距離走のような急激にエネルギーを必要とする運動では、主に解糖系でATPを生成します。

 

 

上記の図のように、高強度の運動、いわゆる無酸素運動ではグルコース(グリコーゲン)からピルビン酸がどんどん生成されます。

 

しかし、大量にピルビン酸が生成されても、ミトコンドリア内に入れる量には限りがあるため、乳酸が大量に生成されることとなります。

 

 

乳酸=疲労物質だと辻褄が合わない

仮に乳酸が疲労物質だとし、疲労の原因だと仮定しましょう。

 

私達の血中乳酸濃度は、だいたい

運動後30分から1時間程度で元の状態

に戻ります。

 

なので、疲労は30分から1時間程度で抜けていくことになりますよね。

 

しかし実際は、数時間から数日疲労が続く場合もありますし、筋肉痛が数日続くこともあります。

 

となると、そこの疲労の原因は乳酸ではなく、別の何かということになります。

 

”乳酸=疲労物質”という考え方には限界があるのです。。

 

 

乳酸はその後どうなる?

謎

では、その大量に生成された乳酸はその後どうなるのでしょうか?

 

まだ明確になっていないことも多いですが、

・血管新生
・傷の修復促進
・ミトコンドリア新生
・遺伝子発言調整

といった働きがあるのではないかと言われています。

 

また、他にも

・遅筋繊維や心筋に送り込まれ再利用される
・肝臓に送り込まれ糖新生される

作用があります。

 

この2つについて、もう少し詳しく説明します!

 

 

遅筋繊維や心筋で再利用される

乳酸が溜まりやすい高強度の運動では、速筋繊維が多く動員されやすいです。

 

速筋繊維にはミトコンドリアが少ない為、ピルビン酸が余りやすく、乳酸も多く産生されやすいです。

 

しかし、遅筋繊維にはミトコンドリアが多く存在する為、速筋よりもピルビン酸をより多く受け入れることができます。

 

つまり、速筋繊維で多く産生された乳酸を遅筋繊維や心筋に送り込み、そこでピルビン酸にもう一度変化させ、ミトコンドリア内で再利用することができるということになります。

 

https://biz.arkray.co.jp/lact/hatta/index.html より引用

 

 

肝臓で糖新生される

一部の乳酸は肝臓に送り込まれます。

 

そして肝臓で乳酸がピルビン酸からグルコースへと変化(糖新生)し、再度筋肉でエネルギーとして再利用される。

 

この回路のことをコリ回路と言います。

 

ただし、グルコースからピルビン酸に変化する途中で得られるATPが2なのに対し、この乳酸をグルコースに戻す作業には6ATPを消費します。

 

要は4ATPマイナスということになります。

 

詳しい説明は省きますが、体のpHを維持する為に大事な役割となります。

 

 

疲労の本当の原因とは?

疲労の原因とは

では、乳酸が疲労物質ではないとなると、一体疲労の原因は何なのでしょうか。。

 

勿論、原因は1つではないですし、まだ解明されていないことも多いですが、現段階では、

・筋グリコーゲンの減少
・エネルギーを作る時にできるリン酸が筋収縮を阻害する
・乳酸の生産過程でできる水素イオンにより体が若干酸性に傾く
・脱水
・体温上昇
・活性酸素

などが複雑に絡み合っていると考えられています。

 

ちまみに上記に挙げたのは”筋疲労”についてです。

 

私達が運動などをして疲れてしまう原因ということですね。

 

1日デスクワークで疲れる。などはまた別の原因が関係していそうです。

 

 

乳酸と乳酸菌って関係するの?

乳酸菌

最後に少し話が脱線しますが、「乳酸菌」という名前を聞いたことがあるでしょうか?

 

私達の腸内に存在する善玉菌の一種でもあり、発酵食品などにも含まれています。

 

名前が非常に似ていますが、両者の関係性とは…?

 

実は乳酸菌とは、

乳酸を作り出す微生物(菌)の総称

なのです。

 

ここでお気付きの方もいるかもしれませんが、私達の乳酸は腸内でも作られているのです!

 

乳酸菌が腸内で乳酸を作り出し、乳酸が腸内で体にとって良い働きをしてくれるわけです。

 

腸内環境について過去に記事にしていますが、そこにも乳酸菌が登場します。

アスコンラボ

「腸内環境を整えましょう!」 何度もテレビでこの言葉を聞いてきました。   多分多くの人が、 「ヨーグルトがいいんでしょ…

 

結論:乳酸は疲労物質ではなかった!

乳酸は長年疲労物質として、悪いもの扱いをされてきました。

 

しかし近年では、むしろ体にとっていい働きをしてくれていることが分かってきています。

 

また、乳酸が血液中に急激に溜まり始める運動強度のことを

・乳酸性作業閾値(LT)
・無酸素性作業閾値(AT)

といい、運動強度を設定する上での1つの指標にもなります。

 

記事の最初にも行ったように、乳酸が増えるということは、グルコースを多く使っているということ。

 

それだけ運動強度が高くなっていることを指します。

 

乳酸が溜まる=疲れている

ではなく、

乳酸が溜まる=グルコースの利用が高まり、運動強度が一定のレベルを超えた

と解釈することができますね。

 

ぜひ乳酸をうまく活用して、運動に生かしていきましょう!

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