私達が呼吸をするとき、胸全体が大きく動くのは感じとれるかと思います。
純粋に肺が膨らんで肋骨が広がっているだけですが、肋骨全部が同じ動きをしているわけではありません。
肋骨上部、中部~下部、浮遊肋と呼ばれるさらに下部の肋骨。
この3つは全て別々の動きをします。
これら肋骨の動きがしっかりと出ているかどうかというのは
・負担のない自然な呼吸ができているか
の指標にもなります。
正しい呼吸ができていないと肩こりや腰痛の原因にもなったりします。
ぜひ最後までご覧いただき、肋骨の動きへの理解を深めてください!
・肩こりに悩まされている
・正しい肋骨の動きを知りたい
肋骨の解剖学
まずは肋骨の解剖学について解説します。
私達の肋骨は全部で12本。左右併せて24本あり、第1肋骨~第12肋骨と名前がついています。
この12本の肋骨の中でも
・第8~12肋骨:仮肋
・第11、12肋骨:浮遊肋
と呼ばれています。
真肋は肋軟骨を介して胸の真ん中の骨である胸骨に結合しています。
しかし、第8~12肋骨の肋軟骨はすぐ上位の肋軟骨に結合し、胸骨と結合しているため関節的な結合になります。
そして第11、12肋骨は胸骨に結合せず、宙に浮いているような形になるため浮遊肋と呼ばれています。
▼下2本の肋骨は胸骨に結合せず浮いている▼
呼吸と横隔膜
呼吸の話で切っても切れない関係性にあるのが横隔膜です。
横隔膜が収縮するから肺に空気がはいり、肺に空気が入るから肋骨が動きます。
横隔膜の具体的な機能については1つ前の記事で説明しているのでそちらをご覧ください。
≫≫横隔膜の機能を徹底解説!横隔膜は呼吸だけじゃなく姿勢とも深い関わりがあった?
ここではさらっと呼吸と横隔膜の関係性についておさらいしたいと思います。
▼青色の部分が横隔膜▼
横隔膜は肋骨下部の内側に付着しており、腰骨にまでベッタリとくっついています。
私達が息を吐いている時は横隔膜が写真のようにドーム状の形をしています。
そして息を吸う時はこの横隔膜が下がり、胸腔が陰圧となり肺に空気が流れ込んできます。
横隔膜の動きについてはぜひこちらの動画をご覧ください。
ここで1つ理解しておいていただきたいのが、
ということ。
胸腔が陰圧になるから肺が膨らむのであって、肺が自らの力で膨らんでいるわけではありません。
呼吸時の肋骨の動き
では本題である呼吸時の肋骨の動きについて解説していきます。
基本的に私達が息を吐く時というのは、何も意識しなければどの筋肉も使うことはありません。
要は肺が自然に縮む力で勝手に息が吐けるということです。
逆に息を吸う時というのは横隔膜と肋間筋が主に収縮し、呼吸をサポートします。
その為、基本的に肋骨の動きに着目する必要があるのは”息を吸う時”になります。
一番最初にも言いましたが、
・中位~下位肋骨
・浮遊肋
の3つに分けて動きを見ていきたいと思います!
上位肋骨の動き
まず上位肋骨の動きについてです。
上位肋骨は肋椎関節という関節が前額面に近づくため、前後径が増減します。
この動きはポンプハンドルの動きに似ていることから
と呼ばれています。
▼ポンプハンドルモーション▼
要は横に広がるというよりかは前に広がってくる動きをするということですね!
中位~下位肋骨の動き
次に中位~下位肋骨の動きについてです。
中~下位肋骨は肋椎関節という関節が矢状面に近づくため、横径が増減します。
これはバケツのハンドルの動きに似ていることから
と呼ばれています。
▼バケツハンドルモーション▼
これは上位肋骨とは違い、横に広がるような動きをします。
浮遊肋の動き
最後に第11、12肋骨である浮遊肋の動きについてです。
これは前の2つよりも動きはシンプルで、純粋に横径が増減します。
横径が増減するという点では中~下位肋骨と同じですが、中~下位肋骨は横に広がりながら全体的に上にも持ち上がっていきます。
深呼吸してもらうとその動きがかなり顕著に見られると思います。
しかしこの浮遊肋に関しては、横に広がるだけです。
そしてこの動きは
と呼ばれています。
▼キャリパーモーション▼
実際の肋骨全体の動き
それぞれの肋骨がどのように動いていくかを説明していきましたが、実際に肋骨全体としてどのように動いているのかイメージがしにくいかと思います。
ぜひこちらの動画を見て、よりイメージを鮮明にしてみてください!
後半は横から見た動きもチェックできます。
肋骨の動きをどう評価する?
では実際にこの肋骨が正しく動いているかどう評価すればいいのでしょうか?
まず初めに動きを実際に評価するのではなく、肋骨/胸郭の形態がどのようになっているか評価しましょう。
仰向けのリラックスした状態で肋骨の開き具合をチェックします。
▼剣状突起と左右第10肋骨弓を結んだ角度▼
この図の角度は90°がたいだいの目安になります。
110°以上開いている場合は異常(リブフレア)と判断します。
中~下位肋骨は横径に増減すると説明しましたが、息を吐いている時というのは横径が減少し、締まっている状態が正常です。
この横径が増加しっぱなし、開きっぱなしの人は肋骨が正常に動いていないと判断します。
これは肋骨自体に問題があるかもしれないですし、姿勢などの影響があるかもしれません。
動きの中での評価
では次に実際の呼吸の中で正しい動きができているかをチェックしましょう。
セルフで評価する方法で最も簡単なのがハイローテスト(パラドックス呼吸)です。
このハイローテストというのは本来肋骨の動きの評価というよりかは呼吸全体の評価になります。
やり方は至ってシンプルで
だけです。
▼座位でも良いですが、仰向けがオススメ▼
この時の腹部と胸部の動きを見ます。
基本的にここでチェックするのは、
です。
本来であれば
・呼気時:胸部と腹部が同時にしぼむ
という動きをします。
しかし、パラドックス呼吸といって正常な呼吸が行えていないとこの胸部と腹部の動きがバラバラになります。
でここで先ほどの肋骨の動きを思い出してみましょう。
上位肋骨は前後径の増減が起きるでしたね。
どうでしょうか。胸に当てた手がちゃんと前方向かつ上方向に膨らんできているでしょうか。
無理やり胸や腰をそらしながら呼吸してはダメですよ?
リラックスした状態で肋骨が正常に動くかどうかです。
肋骨の動きが原因で体に不調が起こる?
実はこの肋骨が正しく動くかどうか。正しい呼吸が行えているかどうか。というのは肩こりや腰痛にも関係してきます。
例えばこの肋骨がまったく縦にも横にも広がらず、1つのユニットとして固まってしまった場合。
私達の肺はどのように広がればいいのでしょうか?
答えシンプルで胸全体が上に持ち上がり、無理やり胸腔のスペースを作り出そうとします。
そしてその肋骨全体を上に持ち上げる筋肉は首に付着する筋肉になるので、1日約3万回するとされる呼吸が繰り返されると肩こりになってしまうのは明白です。
これは腰痛にも同じことがいえます。
この辺りの話は1つ前の投稿でも解説しているので、ぜひそちらをご覧ください!
≫≫横隔膜の機能を徹底解説!横隔膜は呼吸だけじゃなく姿勢とも深い関わりがあった?
結論:肋骨は大きく分けて3つの箇所で動きが違う
いかがだったでしょうか。
最後の方は少し話が反れて評価の話になってしまいましたが。。
おさらいすると、
上位肋骨は前後径+上方に。中~下位肋骨は横径+上方に。浮遊肋は横径に増減します。
最後にご紹介したチェック方法もセルフでできるものなのでぜひやってみてください!
チェックして問題がありました!どう改善すればいいですか?
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