「脂質」と「脂肪」は、言葉がとても似ている為に、”脂質=太る””脂質=悪”みたいなイメージがありませんか?
実は脂質には種類があり、良質な脂質は健康やダイエットに良いとされているのです。
脂質は体の構成には欠かせないとても大事な栄養素なのです。
この記事では、そんな脂質の悪いイメージを払拭し、なおかつ読者の皆様が良質な脂質をしっかりと選択できるように解説していきます!
・脂質についてよく知らない
・脂質が太る原因だと思っている
脂質とは?
脂質とは、炭水化物・タンパク質と共に三大栄養素と呼ばれる重要な栄養素です。
しかし、脂質の定義は未だに確立されたものはなく、まだ曖昧なのが現状だと思います。
伝統的な定義
1.水に不溶
2.有機溶媒に可溶
3.脂肪酸あるいは炭化水素鎖を含む
4.生物由来の物質
脂質とカロリー
タンパク質と炭水化物は、1gあたり4kcalなのに対し、
ある為、ダイエットの観点からも敬遠されがちなのではないでしょうか。
脂質と聞くと、オリーブオイルや植物脂だったり、バターやマーガリンをイメージする方が多いですが、肉や卵にも脂質は多く含まれています。
脂質制限ダイエットのメリットやデメリットについては、過去の記事でまとめています!
≫≫脂質制限と糖質制限はどちらが効果的に痩せられる?脂質制限のメリット・デメリットとは
脂質の種類
脂質には色々な分類方法がありますが、一番メジャーなものとして、化学構造で分類する方法を今回ご紹介します。
1.単純脂質(中性脂肪、セラミド)
2.複合脂質(リン脂質、リポタンパク質)
3.誘導脂質(ステロール類)
以前、卵の記事を書いた際にでてきたコレステロールは誘導脂質に分類されます。
≫≫【完全栄養食品】卵の大量摂取は健康に悪い!?卵は心筋梗塞のリスクを高めるのか?
それぞれどのような脂質なのか、簡単に説明すると、
複合脂質⇒細胞膜の主要な構成要素。情報伝達などにも関わる
誘導脂質⇒身体やホルモンの構成要素
のようになります。
しかし、今回取り上げる”良質な脂質”、”質の悪い脂質”というのは、この段階では判断できません。
単純脂質は脂肪になるから悪だ!ということではないのです。
これらの脂質を構成している大事な要素に脂肪酸というものがあります。
そして、この脂肪酸にも種類があり、この種類によっては、あまり摂りすぎない方がいい(⇒質の悪い)脂質があるのです。
脂肪酸の種類
脂肪酸には、炭素数による分類と、不飽和度による分類があります。
1.短鎖脂肪酸:炭素数が6以下
2.中鎖脂肪酸:炭素数が8-10
3.長鎖脂肪酸:炭素数が12以上
1.飽和脂肪酸:炭素鎖に単結合のみ
2.不飽和脂肪酸:炭素鎖に二重・三重結合を有する
注目すべきは不飽和度による分類です。
不飽和脂肪酸は、さらに一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けることができます。
また、他にも不飽和脂肪酸は、シス型とトランス型にも分類することができます。
まとめると上記のような図になります。
そして赤色で塗られている脂肪酸は質の悪い(=摂りすぎは良くない)脂肪酸なのです。
質の悪い脂質とは?
この記事で言う、「質の悪い脂質」とは、
とさせて頂きます。
正確には、質の良い/質の悪い脂質というのは存在しませんので。。
どれも必要だけど、摂りすぎ注意な脂質はあるということです。
それを踏まえた上で、質の悪い脂質とは、
のことを指します。
それぞれどのような脂肪酸で、そのようなものに含まれているのか説明していきます!
飽和脂肪酸とは
飽和脂肪酸は、液体のものもありますが、一般的に
です。
いわゆる、
に多く含まれています。
この飽和脂肪酸は、どの脂肪酸よりもエネルギー源として利用されやすく、体脂肪として蓄積されやすい脂肪酸です。
赤身肉の食べ過ぎには注意という記事を書きましたが、このような理由からも、やはり食べ過ぎには注意した方がいいでしょう。
≫≫癌のリスクを高める要因とは?赤身肉・加工肉は危険なのか【死亡原因第一位の癌】
飽和脂肪酸の大量摂取は危険
飽和脂肪酸の大量摂取は、死亡リスクが高まると言われており、特に
と指摘されています。
厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、様々な脂肪酸のなかでも飽和脂肪酸のみ上限が定められています。
トランス脂肪酸とは
トランス脂肪酸は、牛乳や牛肉など天然の脂肪中にも少量存在します。
しかし、多くは加工・精製された
マーガリン・ファットスプレッド・ショートニング
や、それらを原材料とした、
などに多く含まれています。
そして、このトランス脂肪酸は、世界各国が
表示の義務付け、上限値の設定、部分水素添加油脂(トランス脂肪酸が多く配合)の使用を規制
しているのです。
トランス脂肪酸の大量摂取は危険
このトランス脂肪酸は、
2.冠動脈性心疾患のリスク増加
ということが指摘されており、摂りすぎには注意が必要です。
日本のマーガリン類にはトランス脂肪酸が多く含まれているので、パンを多く食べる方は注意した方がいいでしょう…
良質は脂質とは?
では、逆に良質な脂質(=健康に良い)にはどのようなものがあるのでしょうか?
それはズバリ、
です。
どちらも不飽和脂肪酸で、飽和脂肪酸は質の悪い脂質だったのに対し、この2つの不飽和脂肪酸は良質な脂質(=健康に良い)と言えるでしょう。
特に一価不飽和脂肪酸の中でもオメガ9(n-9)系脂肪酸に含まれるオレイン酸。
多価不飽和脂肪酸の中でもオメガ3(n-3)系脂肪酸に含まれるα-リノレン酸・EPA・DHA。
オメガ6(n-6)系脂肪酸に含まれるリノール酸が良質な脂質なのです。
それぞれどのような脂質なのか解説していきます!
オメガ9脂肪酸のオレイン酸
まずは、オメガ9脂肪酸に含まれるオレイン酸についてです。
皆さんの身近な物だと
がこのオレイン酸です。
このオレイン酸は、
ことが分かっています。
どうせ油で何かを炒めるのであれば、ぜひオリーブオイルを使いたいところですね!
以前アーモンドが体に良いという記事を書きましたが、アーモンドにはこのオレイン酸が多く含まれています。
≫≫筋トレ効果を上げたいのならアーモンドがオススメ!健康・美容もサポート
オメガ3脂肪酸のα-リノレン酸・EPA・DHA
世間一般的には、「良質な脂質」と言ったら、このオメガ3脂肪酸を指すことが多いです。
なぜこのオメガ3脂肪酸が大事なのかと言うと、
と呼ばれているからです。
もう少し細かく言うと、α-リノレン酸が必須脂肪酸と呼ばれています。
具体的には、
2.関節リウマチの症状を緩和させる可能性あり
3.動脈硬化防止
4.肝臓がんのリスク軽減
これらの効果が報告されています。
これらが多く含まれているものには、
があります。
魚の脂質は体に良い!と聞いたことがある方もいるかと思いますが、その理由はオメガ3脂肪酸を豊富に含んでいるからです。
そしてこのオメガ3脂肪酸は、意識して摂取しないと不足しやすい脂質とも言われています。
オメガ6脂肪酸のリノール酸
このオメガ6脂肪酸もオメガ3同様、必須脂肪酸と呼ばれています。
それだけ、体には欠かせない脂質ということですね。
このリノール酸は摂りすぎは注意と言われているものの、適度に摂取することで
させることができます。
リノール酸が多く含まれているものには、
があります。
このオメガ6脂肪酸は、オメガ3とは違い、過剰に摂取しやすい脂質とも言えます。
良質な脂質ではあるものの、オメガ3脂肪酸とのバランスも重要だと言われており、オメガ6脂肪酸が過剰になりすぎると体に害を及ぼすかもしれません。
理想の摂取比率は、
です。
良質な脂質はダイエットにも効果的
勿論、良質な脂質でも摂りすぎれば太る原因となりえます。
しかし、質の悪い脂質を良質な脂質に変えるだけで多少のダイエット効果が期待できるかもしれません。
その理由は、
2.代謝スピードが上がる
3.消費カロリーが増える
からです。
ダイエット中だから脂質は…
と避けるのではなく、質にこだわればさらにダイエットを後押ししてくれる頼もしい味方となってくれますよ!
特にダイエットや健康にいいと言われるものとして”MCTオイル”というものがあります。
≫≫MCTオイルが健康に良い理由3選!認知症にも良いとされる驚きの効能とは
極端な過剰摂取には要注意
ここまで良質な脂質について説明していきましたが、
です。
いくら良質な脂質といえど、極端な過剰摂取は体に害を与えかねません。
少し意識して、オリーブオイルや魚を摂取するのを心がけ、逆にマーガリン・スナック菓子・菓子パンなどの固形の脂質を避けていけばいいのです。
結論:オリーブオイルと魚の脂質を意識しよう
極論、
オメガ9脂肪酸を豊富に含むオリーブオイル
と、
オメガ3脂肪酸を豊富に含む魚
を意識して摂取しましょうということになります。
逆に飽和脂肪酸とトランス脂肪酸は極力避けましょう。
オメガ6脂肪酸も体には良いのですが、摂りすぎてしまいがちな脂肪なので、意識して摂取する必要はないでしょう。
脂質=悪
と決めつけるのではなく、良質な脂質をうまく摂取することで健康に良いものへとなっていきます。
脂質は身体を構成する上で欠かせない栄養素なので、脂質の量を減らすのではなく、質にこだわってみてはいかがでしょうか?